建設現場もデジタル化 清水建設がOracleを採用のワケ

デジタル化はオフィスワークの現場にとどまって起きているわけではない。建設現場の事例を紹介する。

» 2022年09月27日 07時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 日本オラクルは2022年9月26日、清水建設が建設現場のデジタル化のために「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)を導入したと発表した。

清水建設がOracleを採用した背景は

 清水建設をはじめとするシミズグループは、「SHIMZ VISION 2030」を長期ビジョンに掲げ、 建設事業の枠を超えた自己変革と挑戦や多様なパートナーとの共創に取り組んできた。また、時代を先取りする価値を創造する「スマートイノベーションカンパニー」の達成に向けて、事業構造や技術、人財のイノベーションに励んでいる。

 2021年7月に策定した中期デジタル戦略2020「Shimzデジタルゼネコン」では、「ものづくりを支えるデジタル」を掲げ、現在は電子決裁推進やプロジェクト・データベースによる情報連携、データ活用による業務効率化、RPAやワークフローシステムを活用した内勤管理業務の自動化・効率化に向け、業務プロセスの見直しと同時に各種業務システムの連携やデータ連携を推進している。

 清水建設ではこれらの背景を受け、書面や属人化された業務プロセスが多々存在する建設現場において、「デジタル化の標準化」や「協力会社との連携を含む効率化」を推進し、将来的には業務データの集約や利活用による建設DXを実現するために、OCIを導入した。

OCIの導入で何が変わる?

 清水建設は、建設現場で同社と協力会社が定期的に行う安全管理業務として月次で開催される特別安全衛生協議会関連の業務のデジタル化および標準化から着手した。これまで、協議会開催招集や出欠確認連絡、実施、報告書の承認、保管などの業務はメールやFAXで行われており、現場の従業員と協力会社の作業時間の負担になっていたという。

 同社はOCIで提供される「Oracle Autonomous Data Warehouse」「Oracle Application Express」「Oracle Analytics Cloud」を活用してアプリケーションおよびシステムを開発することで、業務フローを整理しデジタル化や標準化を実現した。

 清水建設は、日本オラクルのコンサルティング部門の支援を受け2021年10月からOCI上でシステムおよびアプリケーションの開発を開始し、2021年11月から建設現場で利用が開始された。現在は9カ所の現場で利用されている。

 清水建設の柳川正和氏(土木技術本部 イノベーション推進部)は同社における建設現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を受け、「建設現場では、まだ紙ベースでの作業手順書や報告書作成業務が多々存在し、現場によってそのプロセスも異なっており、その効率化と標準化を模索していた。OCIでは新たにアプリケーションとシステムを開発し、非常に短期間で展開することができた。 既に利用が始まっている現場では、毎月の協議会の準備から開催、帳票作成までの業務時間が大幅に短縮され、従業員の生産性向上につながっている」とコメントした。

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