AWSが発表 これまでの日本への投資とその経済効果

3大クラウドの一つといわれるAWSは、これまでどれだけの投資を日本で行い、どのような効果を得たのか。

» 2022年10月11日 13時38分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 Amazon Web Services(以下、AWS)は2022年10月11日(現地時間)、同社における2011〜2022年の日本への投資とその経済効果を発表した。AWSはこれまで、ユーザーのITシステムのモダナイゼーションと安全かつ適切なスピードでのイノベーションを支援し、DX(デジタルトランスフォーメーション)や持続可能な経済成長を後押ししてきた。

AWSの投資が生み出した日本での価値

 AWSは、AWSアジアパシフィックリージョンを2011年に東京に、2021年に大阪に開設している。これら2つのAWSリージョンに関する設備と運用投資総額は、2011年からの累計で1兆3510億円となり、そのうち2022年は3480億円となる見込みだ。

図1 AWSの日本における投資(出典:AWSのWebページ)

 この投資の結果、AWSリージョンを通したAWSの日本の国内総生産(GDP)への寄与は2011年からの累計で1兆3060億円となり、社外のサードパーティーベンダーにおける2万300人超のフルタイム雇用を創出した。

 2つのリージョンは世界水準のクラウドインフラストラクチャで、日本のユーザーはこれらを通じて200以上のクラウドサービスを利用できる。低遅延でAWSクラウドにアクセスでき、耐障害性(fault tolerance)や復元性(resiliency)、可用性(availability)を高めながらITシステムを設計することが可能だ。

パートナー、スタートアップ、デジタル人材の育成にも注力

 AWSは、世界で10万を超える独立系ソフトウェアベンダーとシステムインテグレーターなどが参加する「AWS Partner Network」(APN)を通じて日本のパートナーにビジネスチャンスを提供するとともに、技術やマーケティング、市場開拓におけるサポートを行っている。

 また、パートナー各社のAWSビジネスを加速するため、日本国内の複数のシステムインテグレーター(NEC、富士通、クラスメソッド、NTTデータ、日立システムズ)と、トレーニングや市場開拓、業界ソリューションの開発などを行う複数年の戦略的協業契約を締結している。

 AWSは教育プログラムやトレーニング、認定試験などを通じて、日本がデジタルスキルの課題に対処し、クラウドの可能性を最大限に引き出すための支援にも投資している。AWSがAlphaBetaに作成を委託した調査(注1)によると、2025年までに、日本の雇用主が最も必要とするスキルの上位2つはクラウドとサイバーセキュリティ関連スキルであり、AWSは2017年以降、日本で40万人以上にクラウドスキル習得に向けたトレーニングを提供している。

 AWSは「AWS Activateプログラム」を通じて、世界中の数十万のスタートアップ企業にビジネスを成長させるためのツールとリソースを提供している。AWSは2013年、同プログラムの提供を日本および世界で開始し、日本ではこれまで数千のスタートアップ企業に数十億円相当の支援を実施した。

 アマゾンウェブサービスジャパンの長崎忠雄氏(代表執行役員社長)は、AWSの取り組みについて「これらのイニシアチブと投資は、AWSの日本への長期にわたる深いコミットメントと、日本のユーザーにとっての重要事項への深い理解を示すものだ。世界をリードするクラウドインフラストラクチャの構築、日本企業との連携、デジタル人材の育成と雇用創出への取り組みを通じて、私たちの国のDXを引き続き支援し、経済発展に貢献していく」と述べた。

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