3年ぶりに「AWS re:Invent」がオフラインで開催されている。AWSが初日に発表した新たなサービスとは。
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Amazon Web Services(以下、AWS)は2022年11月28日〜2022年12月2日(現地時間)の5日間にわたり、同社の年次イベントである「AWS re:Invent 2022」を米ラスベガスで開催している。初日の11月28日には、AWS Utility Computingのピーター・デサンティス氏(シニアバイスプレジデント)が基調講演に登場し、「AWS Nitro v5」(以下、Nitro v5)をはじめとする、複数のサービスを新たに発表した。
「AWS Nitro System」は、「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)などのサービス基盤となるプラットフォームで、これまでは「Nitro v1」から「Nitro v4」までが提供されていた。新たに発表されたNitro v5は、これまでのNitroシリーズと比較してトランジスタ数が2倍、DRAM速度が50%向上、PCIe帯域も2倍となる。
「Nitro v5は気象データ分析やライフサイエンス、産業別のエンジニアリングなど、さまざまな分野で活躍することが想定される高性能のチップだ」(ピーター氏)
同氏によれば、Nitro v5はこれまでのNitroシリーズと比較して1秒当たりのパケット処理性能(PPS:Packet Per Second)が60%向上した。レイテンシ(応答遅延)は30%減少しており、1ワット当たりの電力効率は40%向上した。
ピーター氏は、Nitro v5に加えて「AWS Graviton 3E」も発表した。これは「AWS Graviton」「AWS Graviton 2」に次ぐ最新のArmアーキテクチャプロセッサだ。コンピューティングパフォーマンスはAWS Graviton2と比較して25%速くなり、1ワット当たりのパフォーマンスは最大60%向上するという。
さらにピーター氏は、AWS Graviton 3EとNitro v5を組み合わせたインスタンスとして「C7gn」「Hpc7g」を発表した。
C7gnインスタンスは、ファイアウォールや仮想ルーター、ロードバランサーなどの「ネットワーク仮想アプライアンス」や「データ分析」「密結合クラスタコンピューティングジョブ」などのネットワーク集約型ワークロードに向けて設計されている。AWS Graviton3Eプロセッサを搭載し、最大200Gbpsのネットワーク帯域幅と、従来比で50%高いパケット処理性能を実現する。C7gnインスタンスは、最大64個のvCPUと128GiB(ギビバイト)のメモリを備えており、複数のサイズを利用可能だ。
Hpc7gインスタンスもAWS Graviton 3Eを搭載するが、AWS Graviton 3Eよりも最大35%高いベクトル命令処理パフォーマンスを実現する。
「密結合されたコンピューティング集約型HPCや分散コンピューティングワークロードに対して、ベストな価格とパフォーマンスを実現し、インスタンス間でトラフィック用に最適化された200Gbpsの専用ネットワーク帯域幅を提供する」(ピーター氏)
これらのインスタンスについては、2023年以降に新たな情報提供が行われる予定だ。
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