荏原製作所のグループ会社がERPを本格稼働 データドリブン経営への転換図る

荏原製作所の国内外のグループ会社は、経営基盤となるERPの本格稼働を開始した。将来は、全拠点の経営データを一元管理して、データドリブン経営への転換を図る。データドリブン経営を実現するために同社が導入したシステムとは。

» 2022年11月30日 14時30分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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  荏原製作所の国内グループ企業である荏原フィールドテックと海外グループ企業のEbara Pumps Canada Corporation(EPCC)は、経営基盤となるERP(Enterprise Resource Planning)の本格稼働を開始した。アビームコンサルティングが2022年11月29日に発表した。

データドリブン経営を実現するためのシステムとは

 荏原製作所は、長期ビジョン「E-Vision2030」の基本方針として製造や技術、情報における経営資源の最適な配分を掲げている。これまで同社はグループ企業や部門ごとの業務システムやプロセスがそれぞれ異なるため、グループを横断したデータ連携、データ分析に課題があった。従業員の生産性向上に向けて業務の自動化や効率化を進めるハードルにもなっていた。

 荏原フィールドテックとEPCCは、ERPの本格稼働について「今回のプロジェクトの第1段だ」としている。稼働後は、業務標準を維持しつつさらに高度化させるため、Celonisの業務最適化プラットフォーム「Celonis Execution Management System」を用いてプロセス分析を実施する。将来はERPを基本としたデータドリブン経営に転換し、世界中の全拠点の経営データを一元管理してデータ分析を実施する。

 荏原製作所は、これによって荏原グループ全体でのKPI(重要業績評価指標)管理や経営レベルにおけるPDCA(Plan、Do、Check、Act)サイクルを実現して、経営判断の高速化や最適化を目指す。

 アビームコンサルティングは、荏原製作所の「E-Vision2030」の基本方針となるリソース戦略の実現とROIC(Return On Invested Capital)経営の深化、長期的成長に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進で荏原製作所を支援してきた。

 今回のERP稼働に当たってアビームコンサルティングは、システムの構想策定から実装、導入後の本格稼働までを包括的に実施した。アビームコンサルティングのビジネスイノベーションプラットフォーム「ABeam Cloud」を基に、荏原製作所の業務特性に沿った標準テンプレートを構築した。

 アビームコンサルティングは今回のシステム構築に当たって「SAP S/4HANA」の導入支援実績で培ったノウハウと、ABeam Cloudグローバル製販テンプレート(注1)を活用したとしている。また、荏原製作所の「Amazon Web Services」(AWS)環境にシステムを構築したことで、「システム導入の迅速化と稼働後のトラブルのリスクが低減され、安定的な稼働を可能にした」と述べる。

(注1)アビームコンサルティングがこれまで経験したプロジェクトのベストプラクティスを、クラウドのテンプレートとして構築した業務アプリケーション。

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