SAPと自動車各社がCofinity-Xを設立 2023年4月末から提供される4つのサービスとは

ジョイントベンチャーである「Cofinity-X」何を目的としているのか。2023年の4月末から実際にサービスや製品が提供される予定だ。

» 2023年02月10日 07時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 SAPジャパンは2022年2月9日、自動車業界のパートナー10社と共にジョイントベンチャー「Cofinity-X」を設立すると発表した。設立の背景には、「Catena-X Automotive Network」(以下、Catena-X)の普及を促進する目的がある。Catena-Xとは、2021年に結成された自動車産業全体のサプライチェーンに関するデータを共有するデータエコシステムだ。

安全なデータのやりとりを実現するCofinity-X 4つの特徴とサービス

 Cofinity-Xは、自動車バリューチェーン全体でデータを安全にやりとりするための製品やサービスを提供することを目的とした企業だ。BASFやBMW Group、Henkel、Mercedes-Benz、SAP、Schaeffler、Siemens、T-Systems、Volkswagen、ZFによって設立された。Cofinity-Xはまず欧州市場を中心に事業を展開する。

 Cofinity-Xはバリューチェーン全体の物流を追跡するエンド・ツー・エンドデータチェーンのオペレーションと構築に大きく貢献すると期待されている。同社のオペレーションの基礎になっているのがCatena-Xと「GAIA-X」だ。GAIA-Xは「欧州のデータ保護」「開放性と透明性」「信頼性と信頼」「デジタル主権と自己決定」「自由な市場アクセスと欧州の価値創造」「モジュール性と相互運用性」「使いやすさ」に基づいて、欧州域内に存在する通信インフラや設備、産業、個人データの収集、デジタルプラットフォームを統合するデータインフラの構築などを目指すデータ流通基盤だ。

 発表によれば、Catena-Xの活用で期待できる効果は以下の4つだ。

  • 脱炭素化へのアプローチ:カーボンフットプリントトラッキングソリューションは、バリューチェーンに沿ったCO2値の簡潔かつ正確な計算と報告を可能にする。Cofinity-Xのユーザーは優れたカーボンフットプリントの透明性を手に入れ、持続可能性の改善ポイントを導き出し、ネットゼロに向けた世界的取り組みで積極的な役割を果たせるようになる
  • 一貫した信頼性の高いトレーサビリティー:原材料からリサイクル部品まで、サプライチェーン全体で、どこからでも部品やコンポーネントをトレースできる。トレーサビリティーアプリケーションはバリューチェーン全体を可視化し、サプライチェーンの弾力性を高める方法を探るのに役立つ
  • 持続可能なバリューチェーンをサポートする循環型経済:自動車業界では材料のリサイクルがますます重要なテーマとなっている。サプライヤーと顧客間で部品の状態に関する情報が可視化できれば、部品やコンポーネントのリユースを進められる。循環型経済を実現することで、企業は製品に含まれるリサイクル可能な材料の比率を高め、廃棄物を減らせる
  • インテリジェントなビジネス・パートナー・データ管理(BPDM):多くの企業が顧客やサプライヤーのデータを最新な状態に保つために多大なリソースを投じている。Cofinity-XのBPDMサービスでは、自動車業界全体のビジネス、パートナー、データの精度向上と充実を行い、ユーザーは分類や分析、整理、充実されたパートナーデータを利用できる

中堅中小企業の参加を促進するための製品とサービス

 Cofinity-Xは4つの主要な製品とサービスを中心にポートフォリオを構築する予定で、以下の4つの製品やサービスが2023年4月末から提供される予定だ。

  • オープンマーケットプレース:ユーザーが導入できるビジネスアプリケーションにとって最適な環境を提供し、ネットワーク参加者の効率的な「マッチメイキング」を可能にする。提供されるアプリケーションは全てCatena-XおよびGAIA-Xのデータ交換原則に準拠したものになる
  • データ交換:当事者間のデータ交換はデータ主権が確保された安全かつ標準化された原則に基づくため、特定ソリューションへのロックイン効果を強いることがない。全てのパートナーが自身のデータの完全制御権を持つ
  • 統合サービスおよび共有サービス:マーケットプレースで提供されるビジネスアプリケーションを強化し、相互運用可能なオープンソースアプローチでのデータ交換が可能になる
  • オンボーディングサービス:Catena-Xエコシステムへの参加を促進し、バリューチェーンのどのステップでも自動車パートナー企業のエコシステムへのデジタル接続を加速させる

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