Salesforceの顧客が懸念する"IT投資の費用対効果" 成約までの時間も伸びるCIO Dive

2023年もIT関連の支出増加が見込まれる中、経済状況の悪化に伴い決裁までの時間も長くなっている。Salesforceなどの大手テック企業はこのような状況にどう立ち向かうのか。

» 2023年02月15日 08時00分 公開
[Roberto TorresCIO Dive]

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 SalesforceでCFO(最高財務責任者)を務めるエイミー・ウィーバー氏は2022年11月30日(現地時間)、「2023年第3四半期は顧客の販売サイクルの長期化に加え、決裁の承認に至るまでの段階が長引いたこともあり景気減速を感じた」と述べた。

 同氏は2022年10月31日(現地時間)の第3四半期決算説明会でも「マクロ経済環境の変化の中で高い収益を確保できるか。費用対効果を顧客から厳しく見られている」と話した。

 同社でCEO(最高経営責任者)を務めるマーク・ベニオフ氏は電話会見で、「共同CEOのブレット・テイラーは2023年1月31日の会計年度終了後に同社を退社する」と明らかにした。テイラー氏は2016年にSalesforceに参画し、2022年に共同CEOに就任した。

「景気の影響が少ない」と思われていたIT投資にも変化が起こり始めている

 アナリストはIT関連の支出は不況があっても大きな打撃は受けないと予測する。経営者は企業が危機に陥った際は「テック関連以外」のコスト削減を模索するとされるが、一方でSalesforceでさえも景気後退の圧力にさらされている。

 巨大ソフトウェアプロバイダーであるSalesforceは、主力製品のCRMを中心にクラウドやコミュニケーション、マーケティングなど複数のサービスで業界トップを走る。

 同社は2022年11月30日(現地時間)、2023年第3四半期は厳しい状況だったが売上高は前年同期比で14%増の78億4千万ドルになったと発表した(注1)。

 Seeking Alphaの報告によると(注2)、第3四半期は米国と欧州の主要市場で支出に厳しい姿勢があったが、ウィーバー氏は「日本市場は回復に向かっている」と電話会議で述べていた。

 支出に対する影響は業界で異なる。小売や消費財、通信・メディアは最も大きな被害を受けたが、旅行・接客や製造、自動車、エネルギーなどの産業は徐々に回復の兆しを見せているとウィーバー氏は話す。

 Gartnerの予測によれば、2023年はIT関連支出の中でソフトウェアの支出が最も大きく伸びる可能性が高い(注3)。2023年のIT支出全体の伸び率が5.1%であるのに対し、企業のソフトウェア支出は11.3%伸びると予想される。

 一方、企業はIT支出に難色を示している。その対象はSalesforceに対してだけではない。

 セキュリティプロバイダーのCrowdStrikeは直近の決算説明会で、「企業は2023年のサイバーセキュリティ支出を削減しないが(注4)、一部の取引は成立までに時間がかかる」とした。CrowdStrikeの共同創業者兼CEOのジョージ・カーツ氏によると、小規模な企業では取引が遅れており、これらの取引が成立するまでの平均時間は以前から11%も増加している。

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