ERP導入事例:中電CTIがSAP S/4HANAを導入へ パブリッククラウド版を採用

中電CTIが「SAP S/4HANA Cloud, public edition」を採用した。経理業務を中心に効率化を進める。

» 2023年02月28日 08時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 中部電力グループのIT専門子会社である中電シーティーアイ(中電CTI)がクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」を導入した。本稼働から約一年半で一定の成果を上げているとしてSAPジャパンが2023年2月27日に発表した。

 中部電力は「中部電力グループ経営ビジョン2.0」と「中部電力グループにおけるDXの取り組み」を掲げてグループ全体でDXを推進しており、中電CTIは、中部電力グループ唯一のIT会社として同グループのDXを推進してノウハウ内製化の役割を担う。グループ全体のDX推進に向けて同社は独自に人材のスキル向上と人材そのものの最適な配置に向け「CTI改革」と呼ぶ組織構造の改革を進める。

中部電力におけるDX推進の取り組み(出典:中電ICTのWebサイト)

中電グループ全体の改革も推進

 中部電力グループはDX推進に当たって、まず中電CTIが先行導入し、そのノウハウを活用してグループ全体に展開する戦略を採っている。中電CTIはERPの経理業務を担う「SAP S/4HANA Cloud, public edition」を、同グループのDX推進に向けて短期間で標準的な業務プロセスを取り込める新たなシステム基盤として、経費精算の「SAP Concur」や教育業務の「SAP SuccessFactors」とともに導入した。

 その際、中電CTIでは、従来のスクラッチ開発ではなく、標準機能を活用するFit to Standard方式を採用した。それに伴い、今までの体制ややり方を変える構造改革にも取り組み、ビジネスプロセスの見直しや、Fit to Standard方式に対応できる技術者の育成にも注力したという。これによって、約1年という短期間で2021年10月に本稼働を開始できた。

 SAP S/4HANA Cloudの導入後、経理業務のうち決算については、データ入力の利便性向上や自動化による工数の削減によって、作業時間を短縮できた。決算データの取得が容易になったため、分析業務の効率も向上した。経費精算関連業務についても、交通系ICカードとのデータ連携や電子承認によるペーパーレスなどによって、作業時間を大幅に削減できたとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ