クラウド、オンプレベンダーの競争再び 「Newオンプレミス」は何ができる

あなたの企業は「Oldオンプレミス+Oldクラウド」? それとも「Newオンプレミス+Newクラウド」か?

» 2023年03月16日 10時39分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2023年3月16日、オンプレミスのIT基盤に対する展望を発表した。さまざまな企業が「レガシーなオンプレミス環境の近代化」を進める中、今後は「Newオンプレミス」が重要になるという。

クラウド、オンプレベンダーの競争再び 「Newオンプレミス」は何ができる

 昨今、ハイパースケーラー各社はハイブリッドクラウドや分散クラウドのソリューションの一部として自社クラウドサービスをオンプレミス側に延伸し始めている。

 これによってハイパースケーラーと従来のオンプレミスベンダーの間で競争が最熱している。このような背景から、ガートナーは従来型 (Old)のオンプレミステクノロジーは衰退し、クラウドネイティブの要素を取り入れた新しいオンプレミス(Newオンプレミス)のテクノロジーへトランスフォーメーションが進み、ユーザー企業はオンプレミスの在り方を変えざるを得なくなるとみている。実際にガートナーによれば、2026年までにオンプレミスベンダーが持つテクノロジーの90%がNewオンプレミスになる予測だ。

 現在はオンプレミスかクラウドかを問う時代ではなくなっており、むしろ「Oldオンプレミス+Oldクラウド」か、「Newオンプレミス+Newクラウド」かの議論が重要になっているようだ。

レガシーマイグレーション、ベンダーの値上げで途方に暮れるユーザーが増える

 2022年に富士通がメインフレーム事業からの撤退を発表したこともあり、レガシーマイグレーションが再びユーザーの関心を集めている。ユーザーは何らかのマイグレーション計画を立案しなければならないが、ベンダーなどから想定していた金額より高い見積もりを提示されたために、足踏みせざるを得ない企業も多い。

 メインフレームのユーザー数が減少することから、保守料金の大幅な値上げも予想されており、途方に暮れるユーザーはこれからさらに増える可能性がある。メインフレームマイグレーションに関しては、将来に向けたコスト最適化への配慮と戦略的投資の考え方を提案に含めるよう、ベンダーやシステムインテグレーターに要請することが重要だ。

 ガートナージャパンの亦賀忠明氏(ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリスト)は「Newオンプレミスを含む新たなビジネスアーキテクチャは産業革命的なインパクトをもたらします。この変化に対応できずに従来型のオンプレミスや仮想ホスティングのみにフォーカスし続ける企業やベンダー、システムインテグレーターは衰退する可能性があります。何の対策も講じていない企業も見られますが、その場合、将来的に『サポート切れのメインフレームを使う』『業務システムを理解できる人材がいなくなる』といった状況に陥る可能性があります。これはITだけの問題ではなく経営問題でもあります。自らこの問題を『将来的に経営を揺るがす大問題』と捉え、戦略的に課題解決に尽力することが重要です」とコメントしている。

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