身売り検討中「サブウェイ」 起死回生策は充電ステーションRestaurant Dive

SubwayがEV充電ステーションの試験的運用に乗り出した。“身売り”検討中であることが明らかになったばかりの同社がEV充電ステーションを設置する理由とは。

» 2023年03月20日 13時40分 公開
[Julie LittmanRestaurant Dive]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

Retail Dive

 電気自動車(EV)の普及に向けて、充電ステーションの充実は欠かせない。たとえ自宅の充電設備で日常的な走行に十分な充電量が賄えても、充電ステーションが十分に設置されていない状況では「出先で充電が切れて身動きが取れなくなる」ことへの不安が払拭(ふっしょく)できず、ガソリン車からの切り替えにしり込みする人が多いからだ。

“身売り”検討中のSubwayが充電ステーションを設置する意図は?

 サンドイッチチェーン大手のSubwayは近年、さまざまな戦略を繰り出している。2023年2月21日、同社は一部の新店舗または新装店舗で小型の充電ステーションを試験的に設置することを発表した。自社売却を検討しているSubwayが充電ステーション設置に踏み出す理由とは。

 SubwayはEV向けの充電設備を提供するGenZ EV Solutionsと提携して充電ステーションを開発する予定だ(注1)。両者の提携内容には複数ポートを備えた充電用キャノピーやピクニックテーブル、Wi-Fi、トイレ、緑地、遊び場などを備える充電パーク「Subway Oasis」を今後数年で展開することも含まれている。

 Subwayは「当社の充電ステーションはフランチャイジーにさらなる収益をもたらし、利用者にはより利便性の高いサービスを提供できる」と述べた。

StarbucksやTaco Bellも充電ステーション設置 その狙いは?

 同社は従来型、非従来型店舗のフランチャイジーと協力して小型のEV充電ステーションとSubway Oasisを展開できる場所を探している。EV充電ネットワークであるRed E ChargingがEV充電ステーションとSubway Oasisに設備と運営ノウハウを提供する予定だ。「小型のEV充電ステーションには、約120マイル分の走行を可能にする電気を約20ドルの支払いで17分以内に充電する急速EV充電器が設置される」と、Subwayは「Restaurant Dive」宛ての電子メールで書いている。

 SubwayはEV充電ステーションの試験運用を始めたばかりだ。「需要に基づき、EV充電ステーションの適切な数と場所を決定するためにパートナー企業と協力する」としている。米国運輸省によると、EVの(フル)充電には急速充電スタンドで約20分から1時間かかるため、充電スタンドを追加することでより多くの客層を取り込める可能性がある(注2)。米国では現在、300万台以上のEVが走行中だ。ホワイトハウス(米国連邦政府)は「全米に13万台以上の公共充電器がある」と、2023年2月第3週の声明で明らかにした(注3)。

 Teslaは2023年2月、同社が提供する「スーパーチャージャー」(急速充電スタンド)と「デスティネーションチャージング」(普通充電スタンド)の一部を「Tesla車以外のEVにも開放する」と発表した。2024年末までに約7500基のEV充電スタンドが全てのEVに対応できるようになる見込みだ。「このネットワークには、ホテルやレストランなどが含まれる」とホワイトハウスは述べた。

 メキシコ料理を提供するファストフードチェーン大手Taco BellのフランチャイジーであるDiversified Restaurant Groupは、カリフォルニア州内にある約120のTaco Bell店舗にEV充電ステーションを設置している(注4)。コーヒーチェーン大手Starbucksは2022年、デンバーからシアトルにある本社までの1350マイルのルートに存在する15店舗に充電ステーションを設置した(注5)。

 2023年2月14日、事業売却を検討していると発表したSubwayは(注5)、ここ数年間、より多くの顧客を引き付けるためにさまざまな戦略を駆使してきた。2022年は伝統に縛られない展開を拡大し、11月にはAI(人工知能)を活用して顧客に在庫について回答するスマート冷蔵庫を設置する持ち帰り専用の無人小売店舗を誕生させた(注7)。同年6月には従来のカスタマイズ注文ではなく、「チキンサンド」「クラブサンド」などカテゴリーごとに数種類ずつ用意されたサンドイッチを商品名や番号で注文する「Subway Series」のメニューを刷新した(注8)。同社は、「2022年の北米における既存店売上高が7.8%増加したのは、この新メニューに加えて同地域の店舗改装を継続的に進めたことが大きな要因だ」と述べた(注9)。

© Industry Dive. All rights reserved.

注目のテーマ