大手を中心に顧客を増やすIFSジャパン、「サービスの瞬間」が大事だと言うがどういうこと?

IFSジャパンが日本における事業戦略説明会を実施した。同社は「サービスの瞬間」を通じて顧客を支援していくという。

» 2023年04月14日 08時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 IFSジャパンは2023年4月13日、日本市場でのビジネス拡大にむけた事業戦略説明会を実施した。その中で強調された「サービスの瞬間」とは何を意味するのか。その実現のために同社はどのように取り組んでいくのだろうか。

IFSジャパンが提唱する「サービスの瞬間」って何だ 日本市場での取り組みを聞いた

 IFSはスウェーデンに本社を置き、欧州はもちろん日本を含むアジア太平洋や中東地域でもビジネスを拡大してきた。その中で核となっている業界が「製造」「航空宇宙・防衛」「エネルギー・ユーティリティー・リソース」「サービス産業」「建設・エンジニアリング」「電気通信」だ。

 これら業界を中心にエンタープライズリソースプランニングや企業資産管理、フィールドサービス管理、エンタープライズサービス管理といったソリューションをセットで提供している。

図1 IFSにおける顧客の一例(出典:IFSジャパン提供資料)
大熊裕幸氏

 グローバルはもちろん、日本でも一定規模以上の企業を中心に私たちのソリューションの採用が進んでいます――。日本におけるビジネスの現状をこのように話したのはIFSジャパンの大熊裕幸氏(代表取締役社長)だ。

 IFSでは事業における決断やプロセスといったものを「血と汗と涙の結晶」と捉えており、その瞬間にサービスを提供できることをサービスの瞬間と呼んでいる。サービスの瞬間の提供価値を最大化するためにERPやCRMなどのデータを横断して活用するための単一プラットフォームが以下の図2の「IFS Cloudプラットフォーム」だ。

図2 IFS Cloudプラットフォーム(出典:IFSジャパン提供資料)

 IFS Cloudプラットフォームを導入している企業の一つがコベルコ建機だ。大熊氏によれば、コベルコ建機はIFS Cloudプラットフォームが標準機能の一部として顧客カスタマイズ管理を備えており、サービスとの精緻な連携を処理する機能および能力を持っているといったことを受け採用したという。

図3 IFS Cloudの5つの差別化要素(出典:IFSジャパン提供資料)

日本でどのように取り組んでいくのか

 大熊氏は日本の顧客が抱える課題として「ネットゼロ達成のプレッシャー」「自動化・省力化」などを紹介し、「これらをビジネスチャンスに変えていきます」と自信を見せた。IFSジャパンがサービスの瞬間を日本企業に届けるためのワークロードが以下の図4だ。

図4 サービスの瞬間を国内企業でも(出典:IFSジャパン提供資料)

 パートナーとの連携強化や従業員が働く環境づくりなどを通じて「特定業種ごとのアプローチ強化」「IFS Cloudプラットフォームの価値訴求を行っていく。その結果、サービスの瞬間を企業に提供し継続的なビジネス成長を支援していくという。

 顧客の成功を支援する上で軸となるのが「ライフサイクルサービス」(Evergreen)だ。これは「日々の顧客の支援、パートナーの補完」「サービスデリバリー管理」「Evergreenの実現に向けたベストプラクティス、ノウハウ、事例のご提供、アセスメント」の3つから成立する。

 「Evergreenのようなプログラムがあることで顧客やパートナーを力強く支援できます。これによりサービスの瞬間を実現していきます」(大熊氏)

 パートナーとの連携強化では、共同で顧客への提案や導入支援を行っていく。また、人材育成に関しても共同でトレーニングの提供などを実施する予定だ。従業員が働く環境つくりでは、「アジャイル」「コラボレーション」「信頼」といった要素を満たすために、エンゲージメントの強化や柔軟な勤務体制、積極的な採用と育成などに取り組んでいく。

 大熊氏は「日本の製造業における生産性は『経済協力開発機構』(OECD)によると27位と低いのが現実です。IFSのみの力ではなく、顧客やパートナーと協力して成長していけるように取り組んでいきます」と話し、説明会を終えた。

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