サプライチェーン領域の人材育成プログラムに「ビッグデータ」「AI」が登場Supply Chain Dive

深刻な人手不足が続くサプライチェーン領域で、企業はIoTやブロックチェーン、AIといった技術への投資を優先的に実施している。こうした技術を使いこなすために人材教育は欠かせないが、どのように進めるべきか?

» 2023年07月10日 10時30分 公開
[Alejandra SalgadoSupply Chain Dive]
Supply Chain Dive

 サプライチェーン領域では慢性的な人手不足が続いている。人手不足の解消や競争力強化を目的に、IoT(モノのインターネット)やブロックチェーン、AI(人工知能)といった技術に多額の投資を実施する企業は多い。

サプライチェーン領域で「ビッグデータ」「AI」の人材育成プログラムが開始

 米国に拠点を置くサプライチェーンマネジメント協会(以下、ASCM)は2023年5月、サプライチェーンの専門家が新技術の基本的な理解を深めるための技術認定資格を新たに導入した。ASCMはサプライチェーン領域における人材教育や世界的な業界標準の確立と推進を担う非営利団体だ。

 ASCMのエイブ・エシュケナージCEO(最高経営責任者)は「サプライチェーンが技術を活用してさまざまなプロセスの効率化を図る中、企業はテクノロジーを利用する従業員のことを考える必要がある」と、「Supply Chain Dive」のインタビューで語った。

 エシュケナージ氏は「(物流の遅延や天候の影響といった)さまざまなリスク要素に関連するデータや回復力、持続可能性といった企業が直面する課題を見ると、これらは全て技術によって解決が可能になる」と述べた。

 ASCMのサプライチェーンテクノロジー認定は、次の6つの技術をカバーする。

  • ブロックチェーン
  • 高度な解析と自動化
  • IoT
  • サイバーセキュリティ
  • 需要計画技術
  • 3Dプリンティング

 ASCMのプレスリリースによると、この資格は初級から中堅のプロフェッショナルを対象としている。合格には約20時間の学習が必要で、最後に修了試験が行われるとのことだ(注1)。

 これは、ASCMが提供する4つ目の資格だ。ASCMは他にも倉庫管理および計画立案の認定資格や、「SCOR Professional Endorsement」(注2)のような資格も提供している。

 エシュケナージ氏は「今回開始する資格を取得するためのコースはビッグデータやアナリティクス、デジタルサプライチェーン、機械学習を含むAIなどのトレンドに関する基本的な知識を専門家に与えることを目的としている」と述べた。また、ASCMが過去に実施した調査で、技術への投資が企業の支出額の上位に挙げられていることを紹介した。

 「問題はサプライチェーンを可視化することにとどまるのではなく、技術や個人の能力の下地となるものを開発するために、業界や技術者自身の準備ができているかどうかだ」(エシュケナージ氏)

(注1)The Association for Supply Chain Management Launches New Technology Certificate(ASSOCIATION FOR SUPLLY CHAIN MANAGEMENT)

(注2)ASCMが提唱するサプライチェーンの管理のプロセスを体系化したフレームワークであるSCOR( the Supply Chain Operations Reference)を使って、世界的なサプライチェーンを管理し、その機能を測定する。

(初出)ASCM launches new certificate to train supply chain workers in tech

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