NECは新サービス「NEC Generative AI Service」を2023年7月から開始する。同社が開発した大規模言語モデルを基にした生成AIを顧客業務に合わせてカスタマイズする他、専用ハード/ソフトウェアやコンサルティングなどを提供する。
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NECは2023年7月6日、「NEC Generative AI Service」を同年7月から順次提供を開始すると発表した。
NEC Generative AI Serviceは、ユーザーに合わせてカスタマイズ可能な生成AI(人工知能)を開発し、独自の大規模言語モデル(LLM)のライセンスや専用ハードウェアおよびソフトウェア、コンサルティングサービスなどを包括的に提供する。
昨今、「ChatGPT」をはじめとした生成AIを活用した業務変革の検討が企業や公共機関で進んでいる。しかし、生成AIの活用では情報漏えいや脆弱(ぜいじゃく)性などに関するセキュリティ面、正確性やシステムの継続利用などに関する活用時の課題がある。企業での利活用においては企業内に蓄積されたナレッジのモデル化や、企業内の利用促進体制の整備など、翻訳や要約などではない、より本質的な用途に活用する取り組みが求められている。
今回のNEC Generative AI Serviceはこうした課題の解消に向けたサービスだ。同サービスでは、同社のノウハウや取り組みをまとめ、顧客をワンストップで支援するメニュー「NEC Generative AI Service Menu」を2023年7月から順次提供開始する。顧客の業務にLLMを組み込みやすくするためのソフトウェア「NEC Generative AI Framework」や同社が独自開発したLLMなども提供する。
なお、これらのサービスは、NECとMicrosoftのグローバルアライアンスを基に、「Microsoft Azure ExpressRoute」への接続拠点があるNEC印西データセンターを中核に提供する。NECのLLMやNEC Generative AI Framework、オンプレミス利用が可能なハードウェア基盤「NEC Generative AI Appliance Server」を組み合わせることで、低遅延でセキュアなLLM環境を実現する。
NECは2023年5月から自社開発した生成AIの社内業務利用を開始している。従業員が安全に使用できる体制と仕組みを2週間で構築し、利用者数は約2万人、1日約1万回の活用が進んでいる。
同社は、生成AIの活用で資料作成時間を50%削減し、議事録の作成時間を平均約5分に短縮、社内システム開発におけるソースコード作成業務の工数を80%削減した。今後も業務改善に取り組み、こうした社内で得たノウハウもLLMや関連サービスに反映する。
NECが提供するLLMの主な特徴は以下の通りだ。
NECはその他、ユーザーのモデル作成やLLM活用のためのソフトウェア整備および組織立ち上げなどを包括的に支援するプログラム「NEC Generative AI Advanced Customer Program」を約10の企業組織と共同で立ち上げている。また、2023年7月1日には、プロンプトエンジニア、コンサルタント、デジタルトラストなどのプロフェッショナルなどの専門家で構成された「NEC Generative AI Hub」をCDO(Chief Digital Officer)直下に新設している。同社はこうした生成AI関連事業において今後3年間で約500億円の売り上げを目指すとしている。
なお、NEC Generative AI Advanced Customer Programの主な特徴は以下の通りだ。
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