ローコードを超えて自然言語で業務指示が可能なAIエージェントが登場した。学習済み汎用AIモデルの組み合わせでシステムを横断する複雑な問い合わせにも対応する。
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AI insideは2023年8月2日、AIエージェント「Heylix」を発表した。2023年8月3日からクローズドβ版の提供を開始し、2023年中の正式半リリースを計画する。従量課金制で1000トークン当たり10円で提供する。
Heylixは自然言語の問い合わせに対して、生成AIや予測AI、画像認識AIなどの複数のAIモデルを組み合わせて応答したり、必要なデータやアプリケーションを操作して指定の形式で応答する汎用(はんよう)のAIエージェントだ。複数のAIモデルの組み合わせはプラグインなどなしで標準利用できる。
Heylixは、複数のAIモデルを用途に応じて組み合わせる「マルチモーダル」であり、その処理を自然言語で指示できる。バックグラウンドの複雑な処理を作り込まずに利用可能なことが特徴だ。同社が持つ独自の大規模言語モデル(LLM)「PolySphere-1」や学習データを基に半自動でAIモデルを構築、運用するAI統合基盤「AnyData」などとも連携する。APIコールが可能な周辺システムとの接続も作り込みなしに自然言語で作業指示を実現する。
Heylixでは、自然言語の問い合わせに対して自動的にマルチモーダルな処理をして応答するAIエージェントを「Buddy」と呼んでおり、「あらゆるタスクを自律的に支援するAIエージェント」と表現する。同社CEOの渡久地 択氏は「実証実験で稼ごうとは思っていない。使えるプラットフォームとしてビジネスを進めたい」としており、将来的にはエンドユーザーが作成したBuddyを共有するマーケットプレースの提供も視野に入れる。併せて「Buddyアーキテクト」(Buddy開発者)の育成にも注力しており、2024年3月末までに1000人のBuddyアーキテクトを生み出すことも計画する。
Heylixのプレス発表会では次の3つの指示を処理するデモが示された。
個別の企業課題に対応する実装が可能になる仕組みも盛り込む。「自社の情報に特化したチャットbotを作りたい」と要望を投げかければチャットbot AIを自動で作成できるようになるという。
渡久地氏によれば、すでに同社の一部の顧客に先行提供しており、300超のBuddyアイデアが出ており、「銀行や保険、自治体、製造などの既存顧客層には早期に提供できると考えている」という。
今後、企業別のカスタマイズに向けた機能も実装予定だが、「ほとんどの業務指示は学習なしの汎用のAIモデルの組み合わせで対応可能」としている。
渡久地氏はHelylix発表にあたり「LLM自体を継続的に利用できているビジネスパーソンはごくわずか。どう使えるようにするかが課題だ。LLMを作って出すだけでなく、あらゆるタスクをこなすAIエージェントを提供する必要があると考えた」とコメントした。
AI insideは2017年にSaaS型AI-OCR「DX Suite」を、DX Suite提供で得た知見をサービスとして提供する目的で2021年にAnyDataをリリースしてきた。AnyDataや約5万人のエンドユーザーを持ち、作成されたAIモデルは、使われているものだけで572種類だという。2023年6月にリリースした独自LLMは140億パラメータを持つ。
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