生成AIが早くも「過度な期待」のピーク期に ガートナーが2023年版「ハイプ・サイクル」を発表

生成AIのビジネスへの活用を模索が続く中、ガートナーによると、生成AIは「過度な期待」のピーク期に入ったという。生成AIは今後、どのような展開を迎えるのか。分散型アイデンティティやデジタル免疫システム、LLMプラットフォームサービスなど今回新たに追加されたソリューションの位置付けは?

» 2023年08月21日 14時15分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2023年8月17日、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」を発表した。

ピーク期入りの「生成AI」「分散型アイデンティティ」 今後の展望は?

 ガートナーが提唱する「ハイプ・サイクル」は、イノベーションが、注目が集まる「黎明(れいめい)期」から過度にもてはやされる「『過度な期待』のピーク期」を経て「幻滅期」を迎え、やがて市場で重要性や役割が理解される啓発期を迎え、安定期段階に進むという共通のパターンを描いたものだ。

 今回発表された2023年版のハイプ・サイクルでは、企業にとって今後重要になる「未来志向型」のテクノロジーやトレンドなど40項目を取り上げている。

 「生成AI」「分散型アイデンティティ」(DCI:Decentralized Identity)、「サステナビリティ管理ソリューション」「デジタル免疫システム」「LLM(大規模言語モデル)プラットフォーム・サービス」「ポスト量子暗号」「空間コンピューティング」「量子機械学習」「商用核融合炉」の9項目は今回、新たに追加された。一方で、2022年版に取り上げられた項目の一部は除外された。

2023年の日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル(出典:ガートナーのプレスリリース)

 2023年に追加されたテクノロジーの中では、生成AIと分散型アイデンティティが「過度な期待」のピーク期に位置している。一方、2022年に「過度な期待」のピーク期に位置していた「メタバース」「Web3」「NFT」「量子コンピューティング」「イマーシブ・エクスペリエンス」は、2023年版では幻滅期に位置付けられた。

 生成AIのトレンドについて、ガートナーの亦賀忠明氏(ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリスト)は「2023年は、生成AIを巡るハイプのスピードがアップしている」と説明する。現在、多くの企業が生成AIを積極的に試行、実験し始めていることから「今後12カ月以内に、テクノロジー製品やサービスのほとんどに生成AI機能が組み込まれ、『どこでも生成AI』の状況になっていく」と予測する。

 DCIは、ユーザーが分散型識別子(DIDs:Decentralized Identifiers)を使用してさまざまなサービスに接続し、自分自身でアイデンティティー情報を管理可能にするものだ。ガートナーによると、DCIは「トラスト」「プライバシー保護」「セキュリティの3つを確立することにより、サービスごとにプロバイダーがIDを管理する従来のモデルに替わる認証手段として位置付けられる。

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