生成AI対応、ITリーダーの4分の1が「ストレスを感じる」 高まる期待の陰で不安もCIO Dive

生成AIの導入に向けた準備が不足していると感じているのは従業員だけではない。ITリーダーでさえ、進歩に付いていくことに必死だ。

» 2023年08月23日 08時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 Salesforceが2023年7月12日(現地時間)、英国のデータ分析企業YouGovと共同で実施した調査によると、ナレッジワーカー(知識労働者)の半数以上が、生成AI(人工知能)は自分のキャリアを高める可能性があると考えている(注1)。

 米国や英国、オーストラリアに拠点を置き、営業やサービス、マーケティング、商取引に携わるフルタイムのナレッジワーカー4000人以上を対象に発表されたこの調査によると、生成AIの利用によってナレッジワーカーは平均で週に5時間の仕事が短縮されることを期待しているという。

生成AIを使いこなせる自信がない従業員たち

 しかし、従業員の多くはツールを安全かつ効果的に使用するために必要なスキルを持っていない。調査によると5人に2人以上の従業員が、生成AIを使用する際に「ファーストパーティーデータ(自社で収集したデータ)を安全に管理する方法を知らない」と回答している。

 生成AIの潜在的影響は従業員の生産性を高めると期待されているが、ビジネスリーダーはガバナンスの実践に関して注意を払う必要がある。生成AIの使用ポリシーに明確なガイドラインを導入して周知することは、企業が実験と採用を進める際の一助となる(注2)。

 しかし間違いも起こり得る。Samsung Electronicsは2023年初め、半導体事業部門の従業員が企業の機密データを「ChatGPT」に入力したことで話題になり、プロンプトごとのアップロード容量を制限する措置を取るに至った(注3)。

 AppleやJPMorgan Chaseなどの大企業は、データプライバシーへの懸念からChatGPTの社内利用を制限していると報じられている(注4)。

 ベンダー各社は、チャット履歴をユーザーがコントロールしやすくしたり(注5)、すでに確立されたプラットフォームにデータを保管するツールを提供したりすることで(注6)、企業の生成AI導入における課題に取り組んでいる。しかしこの状況が改善されたとしても、データのセキュリティプロトコルを順守することの重要性を従業員に伝え、適切なユースケースを明確に示すのは、テックリーダーの責任である。

 Salesforceのデータによると、ナレッジワーカーの3分の2以上がスキル格差を埋めるために、生成AIに関連したスキルアップの機会を雇用主に期待している。

 しかしナレッジワーカーだけでなく、テックリーダーも進歩に追い付こうと必死であり、彼らは生成AIの導入に対する準備ができていないと感じている。プロジェクト管理ツールなどを開発するAsanaのシンクタンクが発表したレポートによると、IT部門の上級管理職の10人に3人がAIへの対応が大きな課題であると回答しており、4分の1以上がデータやシステムの保護について日々ストレスを感じているという(注7)。

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