生成AI搭載のインパクトは? ガートナーがPC市場を引っ張る「次の需要」を予測CIO Dive

ガートナーによると、ずっと冷え込みの続いていたビジネスPC市場がついに底を打ったようだ。最も早く復活の兆しを見せているメーカーはどこか。また、生成AI機能の搭載はPC買い替えを促進する「次の機能」になるだろうか。

» 2023年11月07日 08時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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 調査会社Gartnerが発表したレポート(2023年10月10日《現地時間》公開)によると、PC市場はパンデミック後の長期にわたる縮小の後、ようやく底を打ったという(注1)。最も早く出荷台数を回復させたメーカーはどこか。今回の回復をけん引している要因と今後の需要を喚起する機能について、Gartnerの見立てを紹介する。

最も「復活」が早いメーカーは?

 2023年第3四半期のデスクトップPCとノートPCの世界における出荷台数は前年同期比9%減となった。前四半期は前年同期比で約17%減だったことから、これは改善といえる(注2)。

 Gartnerの北川美佳子氏(ディレクターアナリスト)は「次の四半期は出荷台数が伸び、2年ぶりに前年同期比でプラス成長になると予想している」と述べた。

 Gartnerによると、2021年第3四半期以降、PC出荷台数は約25%減少している。2021年7月1日〜同年9月30日の出荷台数8410万台から、2023年の同時期はわずか6430万台にまで落ち込んだ(注3)。

 長引く「PC不況」の根源は2020年から感染拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID−19)によるパンデミックにある。テレワークをサポートするために、企業は2020年にデバイスを買いそろえた。2022年に経済予測が悪化した際、PCは裁量的支出削減の犠牲となった。

 しかし、市場は回復の兆しを見せ始めていると北川氏は言う。「ビジネスPC市場は、OSの『Windows 11』のアップグレードにけん引され、次の買い替えサイクルに向けた準備が整っている。消費者向けPCの需要も、パンデミック時に購入されたPCがリフレッシュサイクルの初期段階を迎えていることから回復に向かうはずだ」(北川氏)

 まず回復の兆しを見せているのがHewlett Packard(HP)だ。同社の第3四半期の出荷台数は前年同期比6.4%増となった。対照的に、上位ベンダーの中でDell TechnoligiesやApple、ASUSの3社は2桁減っている。また、市場シェアトップのLenovoの出荷台数は前年同期比で4.4%減少している。

 Gartnerのレポートによると、HPの成長は在庫の正常化によるところが大きい。

 IT専門の調査会社IDCのライアン・ライス氏(ワールドワイドモバイルコンシューマー・デバイストラッカーグループ バイスプレジデント)は、2023年8月に公開したレポートで「企業のリフレッシュサイクルが始まると、AppleのMacが市場シェアを拡大する機会はWindowsを搭載したPCより多いかもしれない」と述べた(注4)。

 ビデオ会議システムをはじめとするソフトウェアを提供しているCiscoのフレッチャー・プレヴィン氏(シニアバイスプレジデント兼CIO《最高情報責任者》)は、2023年9月に開催されたJamf Nation Users Conferenceで、「MacはWindows PCよりも長期的に安全で、かかるコストも低い」という社内レビューのデータを発表した(注5)。

2024年に多く発売される「AI搭載PC」

 メーカーが最上位製品に生成AI(人工知能)を搭載することで、次世代デバイスは新たな機能を持つようになるだろう。

 市場シェア第3位のDell Technoligiesは、2023年7月の発表で、同社が独自開発した生成AIをPCに搭載するだけでなく、ITインフラや企業向けの導入支援、デプロイメントサービスをはじめとするプロフェッショナルサービスにも展開すると発表した(注6)。

 IDCが2023年10月9日に公開した報告書でリン・ファン氏(デバイス&ディスプレー研究担当バイスプレジデント)は「生成AIの搭載はPC業界にとって分岐点となる可能性がある。ユースケースはまだ完全に明確ではないが、このカテゴリーへの関心は強い。2024年はより多くのAI搭載デバイスが発売され、全体的な販売価格が大幅に上昇すると予想される」と述べた。

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