生成AIの活用が本格的に進む今、AIに期待される“効果”は多岐にわたる。あるコンサル会社の指摘が正しいとすれば、AIへの投資額の多さとAIによって得られる成果との間にはギャップがありそうだ。その理由とは?
2024年に生成AI(人工知能)をはじめとするAIへの投資を増やす計画を立てている企業は多い。目的は生産性の向上や従業員体験の向上などさまざまなだが、半数以上の経営幹部が挙げる「コストの削減」は果たして実現するのだろうか。
あるコンサルティング会社は、企業の旺盛な投資行動とは裏腹に滞っている“ある重要事項”が、AIの導入効果を妨げる可能性を指摘する。
企業の経営幹部は、AIが業務や顧客サービス、IT領域における生産性向上をもたらすと考えている。
コンサルティングサービスを提供するBoston Consulting Group(BCG)が2024年1月第3週に発表した14業種の経営幹部1400人以上を対象とした調査によると、2024年に経営幹部の半数以上がAIによるコスト削減を期待しているという(注1)。
そのうち約半数は10%以上のコスト削減を見込んでいる。ROI(投資収益率)の向上は主にオペレーションやカスタマーサービス、ITの生産性向上によってもたらされると、経営幹部は予想している。
経営幹部の4分の3近くは「2024年に技術への投資を増やす」としており、これは2023年の60%から増加している。10社中9社は生成AIを含むAIへの支出を増やす計画だ。
生成AIは2023年の技術関連の話題を独占した。これは投資額にも反映されている。
経営幹部の10人中9人近くが、「AIと生成AI」を技術における優先事項のトップ3に挙げた。しかし、彼らの期待と企業における実際の進捗(しんちょく)にはギャップがある(注2)。
トレーニングは企業の生成AIの活用計画における重要なポイントだが、スキルアップの目標を達成できていない企業もあるようだ(注3)。
BCGによると、これまでに生成AIツールについて従業員の4分の1以上をトレーニングした企業はわずか6%にとどまっている。半数以上の企業が生成AIの習熟度について「限定的」または「全く自信がない」と回答している。
スキル不足により、ユーザー体験や生産性、アクセシビリティに変革をもたらすという企業の野望は脅かされているといえるだろう。
(注1)From Potential to Profit with GenAI(Boston Consulting Group)
(注2)Businesses work to deliver on generative AI aspirations in 2024(CIO Dive)
(注3)3 takeaways from AWS’ generative AI course for executives(CIO Dive)
(初出)C-suite leaders expect AI to deliver cost savings in 2024
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