在庫管理においてはさまざまな問題が常に発生する。本稿では在庫管理の“あるあるミス”とこれらの問題を未然に防ぐ方法20選を紹介する。
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企業が直面する課題は多岐にわたり、在庫管理については頻発しがちな問題が幾つかある。サプライチェーンの責任者はこうした問題について学び、自身の企業において問題が起きないよう予防すべきだ。
在庫管理は顧客のニーズに応えるために不可欠なものだ。不適切な在庫水準や長いリードタイムといった問題は、顧客の不満につながるおそれがある。
ここでは、発生する頻度が特に高い在庫管理の問題トップ20を紹介しよう。
企業は通常期と繁忙期を通じて顧客の需要を満たすのに十分な在庫を品目ごとに保有するのが理想だが、顧客の需要は状況によって目まぐるしく変化する。例えば、冬が事前の予報より寒くなれば冬用の手袋の需要が増えるかもしれない。
顧客のニーズをしっかりと理解し、需要を正確に予測すれば、この問題の解決に向けた一助となるだろう。
将来的な顧客の購買を予想し十分な在庫を確保するには、需要予測が不可欠だ。
データ入力や予測アルゴリズムに誤りがあると需要管理がうまくいかず、在庫不足に陥るおそれがある。
企業が在庫を補充するのは、顧客に商品を販売し在庫補充が必要であることを確認した後だ。
しかし、商品の再注文時にはリードタイムを計算に入れなければならない。リードタイムとは発注書を作成してから商品が倉庫に到着して発送可能になるまでの時間だ。再注文のプロセスに遅れが生じるとリードタイムが長くなり、商品供給に問題が生じるおそれがある。
生産計画の不備も納品遅れの原因になる。
生産計画の不備に起因する製造上の問題には、発注が予定通りに実施されなかったことによる原材料の不足や部品の未発注による機械の故障、スケジューリングミスによる生産ラインの人員不足などがある。在庫管理と生産計画を統合することでこうした問題の多くを解決できる。
調達や製造の過程でミスが発生すると、大量の不良品を抱えることになり製品リコールや在庫の廃棄、顧客の不満につながるおそれがある。
生産ラインを最適化し、エラーの回避に役立つリーン・シックスシグマのようなアプローチを採用すれば、このような無駄を減らせる。
その他にも、盗難や輸送中の破損、劣悪な保存状態などが在庫喪失や廃棄の原因になる。企業は輸送トラックでの保管方法が適切であることを確認するなど、予防策を講じなければならない。
企業が顧客のニーズに応えるためには、従業員が正しい商品を発注しなければならない。
例えば、従業員が黒いシャツを発注すべきところで誤って青いシャツを発注すれば、必要な在庫が足りなくなるおそれがある。
多くの場合、小売企業は利益率が低いため健全なキャッシュフローの維持が極めて重要だ。在庫が運転資金の大部分を占め、未使用品や売れ行き不振の商品に多額の資金が拘束されれば、将来の製品開発や在庫に投資できる資金が少なくなる。
このような資本不足を回避するため、多くの企業はジャスト・イン・タイム生産システムを採用し、資金が長く拘束されないようにしている。
過剰な発注は過少発注よりも大きな問題になる可能性がある。未使用の在庫や売れ行き不振の在庫は廃棄するか大幅な値引き価格で販売するまで保管場所と資本を占有し、損失につながる。
正確な需要予測と製造の迅速化によって需要と在庫水準の整合性を高められる。
食品や医薬品、化学薬品など、品質が劣化したり安全でなくなったりする商品の場合は使用期限の追跡も重要になる。このような商品の多くは品質や鮮度を維持するため注意深く管理された環境で保管しなければならない。
一方、本来あるべき場所ではないところに在庫を保管すると、商品を探すのに時間がかかり、出荷の遅れや従業員の生産性の低下につながる可能性がある。
複数の国に商品を出荷する企業は、同じ商品を多数の異なる倉庫に保管するケースがあり、これが在庫水準に関する混乱につながるおそれがある。
複数の倉庫に保管されている在庫を管理するには、高度な在庫管理に加えて全ての国に行き渡るよう、配送ルートの変更が必要になる。
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