AWS、Azureになくて、Qlikにあるもの 大手クラウドを意識する理由と差別化のポイント

データ活用プラットフォームを提供するQlikが2024年度の事業戦略と日本での取り組みを発表した。買収で守備範囲を拡大する同社と大手クラウドとの差別化のポイントとは。

» 2024年04月03日 08時00分 公開
[村田知己ITmedia]

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 クリックテック・ジャパンは2024年3月26日、2024年度の事業戦略と日本でのアプローチを発表した。同社が2023年9月に発表したAI(人工知能)関連ソリューション群「Qlik Staige」を中心に、企業におけるデータやAIの活用支援をさらに推し進める。

大手クラウドベンダーとの差別化ポイント

 クリックテック・ジャパンの今井 浩氏(カントリーマネージャー)は事業戦略の記者発表会にて「競合は(データ活用基盤を)手作りしてしまう“お客さまの意識”だが、あえて似たようなケーパビリティを持ったベンダーを挙げるとすればAmazon Web Services(AWS)やMicrosoftだ」と述べ、同社が大手クラウドベンダーを意識せざるを得ない理由を語った。

 Qlikは2023年のTalendの買収をはじめとして、データやAI活用に関連するさまざまなベンダーを買収し、その製品ポートフォリオを拡大してきた。今井氏は「(現在のQlikと同様に)データから成果を生み出すまでのエンドツーエンド、つまりデータエンジニアリングのパイプラインの全てで(製品)ポートフォリオを持っているベンダーはAWSやMicrosoftしかいない」と話し、同社の製品がカバーする範囲の広さを強調する。

図1 Qlikはデータパイプライン全体でさまざまな製品を提供(出典:クリックテック・ジャパン提供資料)

 では、それら大手クラウドベンダーと比較して、Qlikの優位性は何なのか。同氏によるとそれは「ソフトウェアパッケージを持っていること」と「マルチクラウドへの対応」だという。

 1点目に関しては、AWSやMicrosoftがソフトウェア開発のリソースを提供する一方で、Qlikは「Qlik Sense」や「Talend Data Integration」などのパッケージ化された製品を販売し、ユーザー企業がイチから作らなくてもよい環境を提供する。

 2点目に関しては、用途に応じて最適なクラウドを選んで導入することが一般化しつつある中、マルチクラウド環境を前提にし、かつデータパイプライン全体に製品を供給するベンダーは「Qlikしかいない」と今井氏は指摘する。

 データの格納や統合、加工、可視化、AI活用など、データの活用プロセスごとに別々の製品を導入する企業もあるが、今後どのようにQlikが市場で存在感を発揮するのか、引き続き注目したい。

日本での取り組み

 今回の記者発表会では、Qlikの2024年度における事業戦略の一環として、日本での今後の取り組みについても4点に分けて発表された。

 まず挙げられたのは「SAPデータの価値向上」だ。ERPをはじめとしてSAP製品を導入する企業は多く、QlikとAWSが共同で行った調査では「SAPデータの価値を高めることが重要事項だ」と回答した企業の割合がグローバルで87%、日本で96%にのぼった。今井氏は「SAPで大切なデータが記録されていることは間違いないが、そのデータを上手に使えていないのが実態」と指摘する。そこでQlikはSAP内外のデータを統合、視覚化するサービスを「アクセラレーターパッケージ」として提供する。これはQlikの既存製品のテンプレートとして、SAPユーザーが求める分析結果の「最大公約数」(今井氏)を提供するものだ。

図2 アクセラレーターパッケージでSAPのデータを簡単に視覚化可能(出典:クリックテック・ジャパン提供資料)

 2つ目の取り組みは「Power of Three」と呼ぶパートナー戦略だ。Qlikと同社のパートナー企業、そしてAWSやMicrosoft、Google Cloud、Snowflakeなどの大手ベンダーがそれぞれの販売ポートフォリオの拡大に向けて協力する。上述のように大手クラウドベンダーはQlikの競合でもあるが、今井氏は各社の協力によるマーケットの拡大に期待を寄せる。

図3 Qlikを中心に各社が連携(出典:クリックテック・ジャパン提供資料)

 3つ目は成功事例の訴求だ。日本のクライアントの導入事例をグローバルに発信し、ベストプラクティスとして多くの企業に活用してもらう狙いだ。

 最後に、これらの取り組みの成果として日本市場への投資が拡大し、同社初の日本のクラウドリージョンを東京に開設したことが発表された。これにより、データを日本国内で保存・処理することを求める要件に対応する。

図4 新たに東京リージョンを開設(出典:クリックテック・ジャパン提供資料)

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