オンプレミスに残る重要データもフルマネージドでクラウドデータ基盤へ――日立とAWSが協業

企業内に残る重要システムには企業のノウハウが詰まっている。だがミッションクリティカルな要件を持つシステムはクラウド移行が難しく、そのデータを生かすにはリスクが伴うことが多かった。日立とAWSがこの問題の解決に本腰を入れる。

» 2024年03月18日 10時30分 公開
[荒 民雄ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 日立がアマゾンウェブサービスジャパン(以下、AWSジャパン)との戦略的協業を発表した。ハイブリッドクラウドソリューション強化が狙いだとしている。両社は顧客企業のシステムのモダナイゼーションとクラウド移行の推進を目指し、今まで培ってきたハイブリッドクラウド向けソリューションの開発を強化する。

 ミッションクリティカル系システムに強い日立は、今後これらの技術者を対象にAWS認定資格の取得を推進し、現在の倍となる4000人のAWS人材を確保すると同時に、AWSの技術支援の下でソリューション拡充も目指すとしている。

ミッションクリティカル系を対象にAIのためのデータ整備と運用の自動化を推進

 今回の戦略的協業は「生成AIの登場で加速するデータ統合や利活用の顧客ニーズに対応するため、ミッションクリティカルシステムのモダナイゼーションとクラウド移行推進を共同で推進していくことを複数年でめざすもの」だとしている。生成AI活用を急ぐ企業のニーズに応えるべく、運用の効率化やマネージドでのサービス提供なども視野に入れる。

 日立は2021年からAWSとハイブリッドクラウド基盤向けのソリューション開発に取り組んでおり、2022年には日立のストレージ製品群と「Amazon S3」を一元的に管理する仕組みを実現。2023年にはクラウドストレージサービス「Hitachi Virtual Storage Platform on cloud」(VSP on cloud)を提供している。

 両者の協業は、オンプレミスに残されたミッションクリティカルシステムのデータ活用を本格化させるためものだ。

 従来の取り組みである、オンプレミスの日立ストレージとVSP on cloudによる共通データ基盤の提供に加え、運用の効率化・自動化を支援するサービス群も提供する計画だ。

 ミッションクリティカルシステムのクラウド移行においては、トランザクションの取り扱いが複雑で、データの整合性を維持することが困難とされる。この問題を、トランザクション処理一貫性を保証する日立の「Hitachi Microservices Platform - Paxos Commit Transaction Orchestrator」を使う。今後、日立はSaaS型の統合システム運用管理「JP1 Cloud Service」において、「Amazon Bedrock」を活用して生成AIと対話形式で障害発生原因の特定や対応策の検討が可能になる仕組みを構築する。また、SREエンジニアがシステム運用および運用改善支援するマネージドサービス「Hitachi Application Reliability Centers」(HARC)も提供する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ