Snowflakeの新CEOにスリダール・ラマスワミ氏が就任した。同氏はこれまでAI担当シニアバイスプレジデントを務めていた人物だ。同社はこれを受けてAI戦略に大きく舵を切る計画だ。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
2024年2月28日(現地時間、以下同)、クラウドサービスを提供するSnowflakeのCEOに、引退を発表したフランク・スルートマン氏の後任としてスリダール・ラマスワミ氏が就任した。Snowflakeは発表の中で、2019年にCEOに就任したスルートマン氏は引き続き取締役会会長にとどまると述べた(注1)。
ラマスワミ氏は、Googleでの15年のキャリアを経てAI検索エンジンの新興企業Neevaを共同設立した。そして、同社をSnowflakeが買収した2023年5月にAI担当シニアバイスプレジデントに就任した。新CEO就任でSnowflakeはAI戦略に大幅に舵を切ることになる。その詳細とは。
この経営陣の変更は、2023年11月にAIアプリケーションビルダー「Cortex」をローンチしたSnowflakeにとって、AIを活用したデータサービスの急成長を促進させる一歩となる(注2)。「生成AIの急激な進化に伴い、当社は新しい世界が提示する課題を乗り越えるために、積極的に技術を推進できる技術者を必要としている」と、スルートマン氏は2024年2月28日、第4四半期決算説明会で述べた(注3)。
2023年の最適化推進の流れを受け、データを大量に必要とするLLM(大規模言語モデル)はクラウドストレージの利用を後押し、Snowflakeは恩恵を受けた。
同社の製品売上高は2024年1月31日までの3カ月間で前年同期比33%増の7億3810万ドル、会計年度では前年同期比38%増の約27億ドルとなった。この利益は、企業のデータに対するニーズの高まりを反映したものである。
「データ戦略なくしてAI戦略はない。これはSnowflakeにとって大きなチャンスだ」とラマスワミ氏は2024年2月28日に語った。
同氏はCortexの立ち上げを主導し、2024年6月に開催される「Data Cloud Summit 2024」に合わせて一般提供を開始する予定だ。
SnowflakeのML(機械学習)を含むAIコンテナサービスは現在、「AWS」(Amazon Web Services)においてパブリックプレビューとして提供されている。また、クリスチャン・クレイナーマン氏(製品担当エグゼクティブバイスプレジデント)は電話会議の中で「ドキュメントAIによる自然言語データ抽出ソリューションとAIを搭載したSQLコパイロットツールとともに2024年6月リリース予定だ」と話した。
「ドキュメントAIは、あらゆる企業が大量に持つPDFなどの非構造化文書から構造化された情報を抽出するものだ」(ラマスワミ氏)
このAI支援ツールは自然言語処理を使用し、データベースのクエリを簡素化する。
「大きく変化した点は、Snowflake内の構造化データにアクセスし、それを多くの人々が利用できるようにしたことだ」(ラマスワミ氏)
同社はAIの生産ラインを増強するため、さらに1000人の従業員を雇用し、GPUハードウェアに約5000万ドルを投入する予定だとCFO(最高財務責任者)のマイク・スカーペリ氏は語った。
「採用単価が高い人材の多くはR&D(研究開発)領域であり、今後もMLを含むAI分野での雇用が増えるだろう。これらのエンジニアは採用コストが非常に高額だ」(スカーペリ氏)
(注1)Sridhar Ramaswamy Named Chief Executive Officer of Snowflake(Snowflake)
(注2)Snowflake reports consumption boom as data rushes to cloud(CIO Dive)
(注3)Snowflake (SNOW) Q4 2024 Earnings Call Transcript(The Motley Fool)
生成AIは検索エンジンではない 当たり前のようで、意識すると変わること
生成AIは便利だが“リスクだらけ”? 上手に使いこなすために必要なこと
Appleの生成AI「MM1」は何ができるの? 他のLLMを凌駕する性能とは
Copilot for Securityはどう使えばいい? マイクロソフトがプロンプトの例を公開© Industry Dive. All rights reserved.