メインフレームが誕生60周年 クラウド時代でも廃れない納得の理由CIO Dive(2/2 ページ)

» 2024年05月13日 07時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]
CIO Dive
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メインフレーム技術者のスキル不足が懸念

 ほとんどのアナリストは、「メインフレームの技術スタックとそれが動作するインフラはすぐなくなることはない」と考えている。しかし、業界関係者はメインフレームを運用する技術者不足を懸念している。

 Forresterによると、メインフレームのベテラン技術者が退職年齢に達することで若手エンジニアと運用スキルのギャップが生じることが、20年以上にわたって懸念されてきた。

 「メインフレームではあらゆるアプリケーションを、あらゆるプログラミング言語で開発できる。しかし、システム管理スキルは、他のITインフラとは異なる特殊スキルであるため習得が難しい」とアロー氏は言う。

 IBMの「watsonx Code Assistant for Z」のような生成AIツールは多くの可能性をもたらしている一方、COBOLプログラミングの熟練度は企業にとって特に悩みの種となっている(注5)。

 そういった懸念を解消するため、IBMはメインフレームスキル評議会を開催し、IBM zシリーズのスキル構築トレーニングプラットフォームを導入した(注6)。「IBMが堅固なバッジや認証環境を維持していることが不足に歯止めをかけている。これは非常に優れたプログラムだが、現状では大きなギャップがあるため決して十分ではない」とガートナーのアレッサンドロ・ガリンベルティ氏(シニアディレクターアナリスト)は述べた。

 潜在的な人材不足が特に懸念されるのは、エンタープライズのメインフレームにおけるワークロードの範囲と種類だ。Gartnerは「2027年までに重要なアプリケーションの半分がパブリッククラウドの外に存在する」と予測している(注7)。

 「顧客がメインフレームを利用している場合、最もミッションクリティカルな作業を実行しているとほぼ100%確信できる」とグード氏は述べた。

 クラウドやAI、サイバーセキュリティなど、多くの重要なテクノロジーで人材不足が深刻化している(注8)。しかし、BMC Softwareのゼネラルマネジャーのジョン・マッケニー氏(SVP兼インテリジェントZ最適化および変革担当)は「この状況はメインフレームのスキルに特有のものだ」と語る。

 「メインフレームを実行している組織の数が限られているため人材を雇用する企業グループが小規模になる。これはメインフレームのスキルが利用可能かどうかという問題ではない。企業が若い技術者の採用と適切な環境の構築に投資する用意があるかどうかの問題だ」(マッケニー氏)

 BMC Softwareは、30歳未満のメインフレーム技術者の割合が増加する一方(注9)、50歳以上の技術者が職場を離れ始めているのを目の当たりにした。マッケニー氏によると、メインフレーム技術者として活躍する女性も増えているという。

 「今後2〜3年で、メインフレーム技術者の世代交代が起こるだろう。これによって、私が長年見てきた以上に変化への関心が高まっている」(マッケニー氏)

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