DXと表裏一体の企業変革に向けたCFOの役割とは何か。期待以上の成果を生み出しているCFOとそうではないCFOの違いとは。アクセンチュアが発表した調査結果と提言から考察する。
「CFO(最高財務責任者)は全社の活動をデータで把握して企業変革をリードせよ」
アクセンチュアの山路 篤氏(ビジネスコンサルティング本部Enterprise Valueマネジメントプラクティス日本統括 マネジングディレクター)は、同社が2024年8月21日に開いた「グローバルCFO調査」の記者説明会で、こう強調した。
CFOに焦点を当てた話だが、企業変革は今やDX(デジタルトランスフォーメーション)と一体になっている。この調査結果でも興味深い説明を聞けたので、今回はその内容を紹介して「全社変革に向けたCFOの役割」について考察したい。
同社が今回発表した調査は、14カ国における売上高10億ドル以上の企業から1440人のCFO(うち日本企業のCFOは136人)を対象に、2023年6〜8月の間に実施したものだ。調査対象者は業種や地域に偏りがないように選定したという。
山路氏はまずグローバルのトレンドとして、全社にわたる変革プロジェクトが増加していることを挙げた。図1の左のグラフにあるように、全社変革として取り組むプロジェクトの数が1社当たり3.1テーマ、今後1年間に2.1テーマに着手する予定であることが分かった。右のグラフは、主要な8つのテーマごとにタイムスケールを表したものだ。全社変革プロジェクトにはこれだけの要素があるとの見方もできるだろう。
こうした動きに伴ってCFOの役割も変化している。調査によると、全社変革プロジェクトを2つ以上リードするCFOの割合が、これまでの11%から今後1年間で34%に増加するとの結果が出た。この結果について山路氏は、「CFOは『全社変革プロジェクトのオーナー』として、より多くより早く推進する役割が求められている」との見方を示した(図2)。
そうした役割が求められるCFOだが、現時点で期待以上の成果を生み出しているCFOと、そうでないCFOの違いはどこにあるのか。図3がその調査結果を示したもので、ポイントは多くの部門に影響を与える変革をリードしていることだ。「特に、これまでCFOがあまり関与してこなかった事業現場や顧客対応、販売、マーケティングといった部門にも踏み込んだ変革に取り組んでいることが、期待以上の成果を生み出す要因になっている」と山路氏は分析する。
CFOの役割が変化している背景については、「企業において事業や管理系の部門を横断して効果を創出できる立場にいるのは、CEOとCFOだ。全社変革のテーマが増えてきた中で、CEOと共にCFOが複数のプロジェクトをリードするのは必然のことだ」(山路氏)と説明した(図4)。
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