ServiceNow「CrowdStrikeの大規模障害はビジネスチャンス」 その真意を探るCIO Dive

CrowdStrikeの大規模障害を、ServiceNowは「ビジネスチャンス」と捉えているようだ。今回の出来事のどこに、ServiceNowは売り上げ拡大の“芽”を見つけたのか。

» 2024年09月05日 09時30分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

CIO Dive

 CrowdStrikeのソフトウェア更新に伴って、大規模なIT障害が2024年7月19日(現地時間、以下同)に発生した。この障害による影響は大規模にわたるが、エンタープライズITベンダーであるServiceNowはこれを自社ビジネス拡大の好機と考えているようだ。

54億ドルの損失を生んだ障害 ServiceNowはどこに商機を見いだした?

 ServiceNowのビル・マクダーモットCEOは、「(CrowdStrikeの障害をきっかけにServiceNowの)売り上げが増加する可能性がある」と、2024年7月24日に開催された2024年第2四半期決算説明会で話した(注1)。

 54億ドルの損失をもたらしたシステム障害のどこに、ServiceNowは商機を見いだしたのか。

 「今回のIT障害を機に、『ServiceNow』を使用していない企業が『ServiceNowの構成管理データベースで何が可能になるか』を知れば、より多くの販売機会につながるだろう」と、マクダーモット氏は言及した。

 「ServiceNowは顧客の環境内でITシステムやITサービス、ITインフラがどのように影響を受けているのかを即座に可視化できる」(マクダーモット氏)。CrowdStrikeの障害が発生した後、ServiceNowは自動化されたワークフローによって迅速な修復作業を実施し、ポータルを通じて従業員に最新情報を提供した。「ServiceNowのどのシステムも今回の障害による影響を受けなかった」と同氏は述べた。

 「CrowdStrike Falconプラットフォーム」において、欠陥のあるソフトウェアアップグレードは、2024年7月19日に78分間稼働していた(注2)。クラウドサービスのシステムダウン発生に特化した保険サービスを提供するParametrixによると、CrowdStrikeのシステム障害は短時間であったにもかかわらず、「Fortune Global 500」企業全体で54億ドルの損失が発生したと予想されている(注3)。

 ServiceNowのようなベンダーは、今回のシステム障害について、復旧作業の助けとなり得る可視性と制御を提供する製品やサービスに注目を集めるチャンスになると捉えている。

 ServiceNowの2024年6月30日までの四半期売上は、前年同期比22%増の26億ドルだった(注4)。同社は2024年のサブスクリプション収益と営業利益率の見通しを引き上げた。

 ほとんどの企業はシステム障害から回復したが、欠陥あるアップデートが引き起こした連鎖的な影響によって、全ての機能やコンポーネントが一体化した「ソフトウェアモノリス」やITのレジリエンスに対する疑問が生じている(注5)(注6)。

 CrowdStrikeの障害発生は決算発表の時期と重なった。各社のCEOらはITチームの24時間体制の努力を称賛し、復旧に関する洞察を提供する機会となった(注7)。

 システムがどのように復旧したかを示す最も象徴的な例は、航空業界から得られた。United航空は、3日間かけて2万6000台以上のコンピュータとデバイスを一つ一つ手作業で修復して再起動した結果、完全に復旧した(注8)。一方、Delta航空の復旧は乗務員追跡システムの障害によって長引いた(注9)。

© Industry Dive. All rights reserved.

アイティメディアからのお知らせ

あなたにおすすめの記事PR