AIをさまざまな業務に有効活用するためにどんな手段があるか。こうした疑問に対して、「ワークフロー×AI」を掲げるのがServiceNowだ。ワークフロー×AIの要点を押さえつつ、この掛け合わせの有効性を探る。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
「私は長い間、DX(デジタルトランスフォーメーション)は必要不可欠だと言ってきた。今、AIが登場し、新たな使命が生まれた。目に見えるビジネストランスフォーメーションだ。しかし、多くの企業がどこから始めればよいのか分からず苦労している。われわれがお手伝いさせていただこう。ServiceNowはビジネストランスフォーメーションのためのAIプラットフォームだ。われわれはAIを皆さまのビジネスや従業員、お客さまのために役立てる変革を進めている。長年の間、夢見てきたことが、ついに実現されようとしているのだ。もう時間を無駄にはできない。さあ、一緒に仕事に取りかかろう」
米ServiceNowのビル・マクダーモットCEOは、日本法人であるServiceNow Japanが2024年10月15〜16日に都内ホテルで開いた年次イベント「ServiceNow World Forum Tokyo」の基調講演のビデオ出演で、来場者にこう呼びかけた。
少々長めに発言を紹介したのは、「AIによってDXがビジネストランスフォーメーションになる」との捉え方に共感したからだ。しかも「目に見える」というのがミソで、これは「誰でも実感できる」との意味だろう。こんな粋な表現ができるのは、SAPのCEOを長く務め、ServiceNowを今やSalesforceに次ぐ規模の独立系クラウドサービス専業ベンダーに育て上げたマクダーモット氏ならではだ。
そんなマクダーモット氏のメッセージで始まった同イベントでのServiceNowの訴求テーマは、同氏も述べていた「ServiceNowはビジネストランスフォーメーションのためのAIプラットフォーム」ということだ。筆者はそうした中でも、同社がこれまで掲げてきた「デジタルワークフロー」とAIの掛け合わせによって何が起きるのか、という点に注目した。
「ワークフロー×AI」はむしろ、同社の訴求テーマの核心と言えるだろう。ということで、今回はこの点にフォーカスして同社の基調講演でのプレゼンテーションのエッセンスを以下に紹介し、考察したい。
マクダーモット氏のビデオ出演に続いてリアルに登場した米ServiceNow CCO(Chief Commercial Officer=最高商務責任者)のポール・スミス氏は、「当社は皆さまのビジネスのあらゆるところにAIを活用できるように支援していきたい」と強調した。「ビジネスのあらゆるところに」という表現が、この発言のミソだ。
スミス氏に続いて登場したServiceNow Japan執行役員社長の鈴木正敏氏が、同社のAIプラットフォームについて、「AIは革新的なテクノロジーとして活用が進む一方、慎重な対応が求められる面もある。もし、AIがうまく活用されなければ、バラバラなシステムから得られる不完全なデータが原因となって混乱が起きてしまう可能性がある。現実的な問題として、AIのパワーはアクセスできるデータに依存している。個別の業務アプリケーションそれぞれに独自のAIを使わざるを得ない状況だと、混乱は現実味を増す」と警鐘を鳴らした。
その上で鈴木氏は、「当社のAIプラットフォームは、そうした状況を打開するのに役立つ。ITや人事、調達、財務、営業、カスタマーサービスなど幅広い業務領域において企業全体のプロセスを結合し、業務を統合し、業務の効率化、コラボレーションの促進、そしてイノベーションの推進を実現できる。しかもこれら全てが単一のクラウドでネイティブに設計された環境で動作する」とアピールした(図1)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.