AWSやMicrosoft、Googleにどう対抗する? アナリストが語る「現実味は薄いが、もっともな条件」CIO Dive

2024年の世界のクラウド支出は50兆円近くにも及び、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudの3社がその大半を占めている。この3社に対抗するために何が必要か。

» 2025年03月31日 19時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 調査会社のSynergy Research Group(以下、SRG)が2025年2月6日(現地時間)に発表したデータによると、世界のクラウド支出は前年比で600億ドル増加し2024年は3300億ドルに達した(注1)。

ハイパースケーラー3社にどう対抗する?

 クラウドインフラサービス市場は2024年第4四半期に910億ドルに拡大し、前年から170億ドル増加した。

 SRGのジョン・ディンズデール氏(チーフアナリスト)によると、OpenAIが「ChatGPT」をリリースした2022年以降、市場は1020億ドル拡大しており、そのうち約半分が生成AIによる成長だった(注2)。

 同氏が解説する、「AWS(Amazon Web Services)」「Microsoft Azure」「Google Cloud」に対抗するために必要な条件とは。

 「AI技術には高いコストがかかるが、クラウドプロバイダーに数百億ドルの収益をもたらす新たなサービスを生み出している」(ディンズデール氏)

 AWSは2024年もクラウドを支配し続け、世界市場の30%のシェアを占める1076億ドルの売上を達成した(注3)。SRGによると、Microsoft Azureは世界市場の21%、Google Cloudは同12%を占めており、2位と3位のプロバイダーの地位を維持している。

 生成AIツールがクラウド利用を促進する中、ハイパースケーラー各社は迅速に対応し、この技術を支えるインフラ投資を拡大した。

 AWSやMicrosoft Azure、Google CloudはAIワークロードに最適化されたデータセンターや高性能チップセット、ネットワーク機器に数百億ドルを投じた(注4)。SRGによると、3社の設備投資総額は2024年だけで2000億ドルを超え、その大半はクラウドインフラに向けられたという。

 ディンズデール氏は「CIO Dive」に対し、「主要プレイヤーになるには、世界中の多くの国の市場、そして米国の多くの地域で相当なデータセンター拠点と資産を持つ必要がある」と語った。

 「自社でデータセンターを建設するにしてもリースするにしても、その規模は非常に大きなものだ。ハイパースケーラーはその両方を実施している」(ディンズデール氏)

 ハイパースケーラーの設備投資はおおむね市場シェアと比例して推移した。SRGによると2024年のAWSやMicrosoft Azure、Google Cloudの投資額はそれぞれ790億ドル、760億ドル、530億ドルだった。一方、Oracleは市場シェア3%を維持しながら、インフラ投資額を2023年の70億ドルから110億ドルに増額した。

 顧客が新たなワークロードをクラウドに移行させ、既存の導入環境を拡大してAIのユースケースを構築する中で、大手3社は容量の制約を緩和するために高水準の投資を続ける意向を示している。

 エネルギーやサプライチェーンの制約はあるが、容量を拡大することはここ数年間ほぼ安定している市場地位を維持するために必要だ(注5)。

 「市場シェアのパフォーマンスには多くの要因が絡んでいる。データセンターのインフラを拡張、強化するために何十億ドルもの投資を続けなければ、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloudに対抗できないことは確実だ」(ディンズデール氏)

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