日本も注目すべき米国の動き トランプ大統領が若年層のAIスキル向上を命令CIO Dive

ドナルド・トランプ大統領がAI技術の向上を国家の優先課題と位置付ける中、ホワイトハウスは若い世代に対するAI研修プログラムへのアクセスを拡大する大統領令を発表した。

» 2025年06月11日 07時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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 ホワイトハウス(米連邦政府)は2025年4月24日(現地時間、以下同)に、若い世代に対するAI研修プログラムへのアクセスの拡大を目的とした大統領令を発表した(注1)。これは、ドナルド・トランプ大統領がAI技術を国家の優先課題とするために講じた最新の取り組みだ。

 この大統領令により、労働長官のローリ・チャベス=デリマー氏やホワイトハウスでAIおよび暗号資産を担当する責任者のデイビッド・サックス氏を含む複数の上級顧問および閣僚で構成される、AI人材の育成および研修に関するタスクフォースが設置された。

 AI人材育成において日本が直面する課題を鑑みても注目すべき取り組みといえる。

若い世代に対するAI研修の動きを強める米国

 大統領令はタスクフォースに対して、教育者向けのAI研修の提供やAI実習制度へのアクセスの拡大、AI分野における学生や教育者の成果を奨励および表彰することを目的とした「大統領AIチャレンジ」の創設を指示している。

 トランプ政権は早い段階からAIに関心を示していた。2025年1月には、トランプ大統領がバイデン政権時代のAI規制を撤回し(注2)、AI導入に向けた行動計画の策定に道を開く大統領令に署名した(注3)。

 2025年4月24日に発表された大統領令は、AIの導入を進める上で重大な障壁となっている「スキルへのアクセス」に焦点を当てている。企業は、求められる人材と実際に確保できる人材とのミスマッチに対処するため、主に人材のスキル向上に取り組んできた(注4)。

 大統領令の中でトランプ大統領は次のように述べた。

 「米国がこの技術革命において引き続き世界のリーダーであり続けるためには、次世代のAI技術を活用し、創造のために必要なスキルと知識を身に付ける機会を、米国の若い世代に提供しなければならない」

 新たに設置されたタスクフォースには、AI関連団体や教育機関、非営利団体などとの間で官民によるパートナーシップを構築し、K-12(幼稚園から高校卒業まで)の生徒向けのAIリテラシーに関するオンライン教材を開発するよう指示が出されている(注5)。

 2024年、従業員がAIの技術に慣れるにつれて、AI研修への関心が急増した。オンライン研修サービスを提供するO’Reillyによると(注6)、生成AIに関する学習の需要は2024年におよそ4倍に増え、プロンプトエンジニアリングのプログラムへの関心は400%以上の伸びを記録したという。

 教育と労働に関する活動を実施する非営利団体であるJobs for the Futureが2025年4月の初めに発表した報告書によると(注7)、スキルアップの取り組みが続けられているにもかかわらず、AI研修を受けた雇用者は全体の3分の1未満だったという。

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