NECが説く「AIエージェントが特に役立つ“2つの領域”」とはWeekly Memo(1/2 ページ)

話題のAIエージェントはとりわけどんな領域で役に立つのか。NECのAI事業責任者の説明から浮かび上がった「2つの領域」を紹介しつつ、同社がAIエージェントの提供メニューを「シナリオ」と呼ぶ理由に迫る。

» 2025年07月14日 17時25分 公開
[松岡 功ITmedia]

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 「AIはあくまでもDX(デジタルトランスフォーメーション)のためのテクノロジーでありソリューションだ。われわれはお客さまのDXの取り組みの中でAIが特に役立つ領域に的確なソリューションを提供したい」

 NECのAI事業責任者である山田昭雄氏(Corporate SVP 兼 AIテクノロジーサービス事業部門長 兼 AI Technology Officer)は、同社が2025年7月8日に開いたAI事業の進捗(しんちょく)に関する記者説明会でこう切り出した。

NECの山田昭雄氏(Corporate SVP 兼 AIテクノロジーサービス事業部門長 兼 AI Technology Officer)(筆者撮影)

「高度な専門業務」でAIエージェントをどう使う?

 DXにおいてAIが特に役立つ領域とはどこか。

 同氏はAIエージェントの活用にフォーカスして、「高度な専門業務の自動化」と「安全・安心なAI活用環境」の2つの領域を挙げ、それぞれにユースケースを交えた同社の取り組みを説明した。

 まず、高度な専門業務の自動化では、業務および業種特化の各種エージェントを顧客企業の課題解決に向けた「BluStellar Scenario」(ブルーステラ・シナリオ)として提供し、顧客企業における専門業務の自動化の推進に努めている(図1)。

図1 各種エージェントによる「BluStellar Scenario」(出典:NECの会見資料)

 図1に示したように、企業の一連の業務プロセスに対し、汎用(はんよう)的な業務の強化および業種に特化したエージェントを順次提供しており、2025年度中に取りそろえる計画だ。

 例えば、「マーケティング施策立案」では、NEC独自のAI技術を活用した「BestMove」(ベストムーブ)と呼ぶブランドのエージェントを提供し、マーケティング施策立案プロセスの変革を支援している(図2)。

図2 マーケティング施策立案の例(出典:NECの会見資料)

 山田氏はこのソリューションについて、「マーケティングは業種を問わず必要不可欠な業務だが、優秀なマーケターによる職人技といったところがある。そこで、図2の取り組みにあるような一連の業務プロセスにおいて、そうした職人技に頼ることなく全てを処理できるエージェントを用意した」と説明した。

 すなわちマーケターの仕事を代替するということか。これについて同氏は、「このソリューションはマーケターの仕事を単に代替するのではなく、これまでマーケターが1人で担ってきた施策立案を、AIエージェントが伴走することで複数人のマーケターでアイデア出しするような多様性のある施策立案ができるようになるというのが、大きなポイントだ」と述べた。

 クリエイティビティが求められる局面では、AIエージェントを「多様性のある視点」として捉えるのもありだと感じた。

 「セキュア開発・セキュリティ経営・セキュリティ運用」の例では、生成AIやAIエージェントを活用したセキュリティサービスを提供し、顧客企業のセキュリティ業務全体の高度化・効率化を支援している(図3)。

図3 セキュア開発・セキュリティ経営・セキュリティ運用の例(出典:NECの会見資料)

 開発に向けてはさまざまな規制やガイドラインへの対応、経営に向けては事業へのリスクの最小化、運用に向けてはさまざまなインシデントへの対応の自動化を、AIエージェントが伴走しながら支援するといった形だ。

 山田氏はこれまで説明してきた高度な専門業務の自動化を支えるテクノロジーとして、同社開発の生成AI「cotomi」(コトミ)の強化やエージェントプロトコルへの対応により、AIエージェントの活用を加速し、業務のさらなる高度化を図れるとも説明した。この動きは会見同日に発表したもので、詳細な内容については発表資料をご覧いただきたい。(図4)

図4 高度な専門業務の自動化を支えるテクノロジー(出典:NECの会見資料)
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