「発言者がいつも同じ」「部下に本音が言えない」 テレワーク定着後も残る課題と対策

多くの企業でテレワークは定着したものの、コミュニケーション課題は深刻だ。ヌーラボの調査を基に、意思疎通の難しさ、フィードバックの困難、会議の形骸化といった具体的な課題と、その対策を紹介する。

» 2025年09月24日 07時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 「会議の発言者がいつも同じ」「部下に本音が言えない」「取引先との関係構築に困難を感じる」。これらの悩みは、多くの人がテレワークで直面している共通の課題かもしれない。

 ヌーラボが実施した調査によると、テレワークの頻度が高い人ほどコミュニケーションの難しさを強く感じていることが明らかになった。調査を基に、テレワークにおけるコミュニケーションの課題と対策を紹介する。

根強く残るテレワークの課題

 ヌーラボは2025年9月19日、テレワークやハイブリッド勤務の拡大における職場のコミュニケーションの課題と解決の方向性をまとめたホワイトペーパーを公開した。

 同ホワイトペーパーでは、ヌーラボが2025年3月5〜6日にかけて、週1回以上デスクワークをする20〜50代の1000人を対象に実施した調査「リモートワークにおけるコミュニケーションの課題」を基に、非対面でも組織全体のパフォーマンスを維持、向上させるためのヒントを整理している。

 調査ではテレワークの頻度が高い層ほど「意思疎通が難しい」といった課題を強く感じる傾向が示されている。特に「ほぼ毎日」テレワークをする層は課題の上位3項目が全てコミュニケーションに関連する内容となっており、対面機会の減少が明確に影響していることがうかがえる。また、取引先など外部とのやりとりでも困難を抱えるケースが多く、週1日程度のテレワークを実施している人のうち59.6%が課題を感じていると回答しており、全体平均の42.0%を上回った。

 また、テレワークにおける上司から部下への声かけやフィードバックが以前にも増して難しくなっているという。コミュニケーションが一方向になりやすく、ネガティブな内容を伝えにくいという傾向が強まることで、部下への適切なフィードバックが難しくなり、マネジメント層の悩みを増加させている。これにより、個々の成長支援やチーム内での信頼関係構築が停滞する懸念がある。

 会議の形骸化も大きな課題とされている。オンライン会議では発言者が限られ、活発な議論がされにくい状況が確認されている。その結果、会議が成果に結び付かず、形骸化した場となってしまうケースが多い。こうした状況はチームの一体感を失わせ、生産性の低下を招く。

 解決を目指すための方策としては、まずコミュニケーションの可視化が不可欠だという。情報のやりとりを見える形で整理することで、誤解や認識のずれを防ぎ、意思決定の精度を高められる。また、上司と部下が安心して意見交換できる場を整えることも推奨されている。これにより、フィードバックがしやすくなり、チーム全体で課題を共有しやすくなる。

 この他、社外の関係者との協働を円滑に進める仕組みづくりも求められているという。外部とのやりとりは組織活動において不可欠であり、ここでのコミュニケーション不全が続くと成果全体に悪影響を及ぼす可能性がある。社内外をまたいだ情報の共有や議論をスムーズにする仕組みは、今後の職場において重要な要素となる。

 テレワークやハイブリッド勤務の拡大は、労働人口の減少や働き方の多様化を背景に、今後も続いていくことが予想される。その中で、コミュニケーションの課題をいかに克服するかは、個人の働きやすさだけでなく、組織全体の成果に直結する問題といえる。

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