LevelBlueがCybereasonの買収を発表 事業戦略はどう強化されるのか?セキュリティニュースアラート

LevelBlueはセキュリティ企業Cybereasonの買収を発表した。Cybereasonの高度なEDRやXDRプラットフォームをどのように利用する方針なのか。同社の狙いを探る。

» 2025年10月16日 07時00分 公開
[後藤大地ITmedia]

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 LevelBlueは2025年10月14日(現地時間)、サイバーセキュリティ企業Cybereasonの買収を発表した。Cybereasonは高度なEDRやXDR(eXtended Detection and Response)プラットフォーム、脅威インテリジェンス、デジタル・フォレンジクスおよびインシデント対応(DFIR)分野で知られている。

 今回の買収契約により、LevelBlueは大規模なマネージドセキュリティサービス専業企業としての地位を強化することになる。

Cybereason買収の狙いは?

 この取引には、SoftBankとSoftBank Vision Fund 2、Liberty Strategic Capitalが出資者として参画する。これらの投資ファンドは、革新的技術企業への支援実績を持つことで知られており、LevelBlueの長期的な事業戦略への信頼を示すものとされている。

 米国財務長官を務めたスティーブン・ムニューシン氏が、Liberty Strategic Capitalのマネージング・パートナーとしてLevelBlueの取締役会に加わる予定だ。同氏の国際金融や政策、投資分野での経験が今後の事業運営や重要インフラ防護の取り組みに生かされることが期待されている。

 LevelBlueの今回の買収にはどのような狙いがあるのだろうか。

 同社は今回の買収によって、脅威検知や対応時間の短縮、サイバー耐性の強化を図り、成果を重視したサービス提供体制を拡充する方針を示している。同社はこれまでセキュリティ企業のTrustwaveやStroz Friedbergなどを買収しており、今回の取引はそれに続くものとなる。これによって複数の専門領域を統合した包括的なセキュリティパートナーとしての基盤を整備することになる。

 Cybereasonの技術と専門知識の統合によって、LevelBlueの既存サービスは複数の側面で強化される。まず、エンドポイント防御分野においては、CybereasonのXDR技術とTrustwaveのMDR機能を組み合わせ、より迅速かつ精度の高い脅威検知を実現し、被害拡大前の封じ込めを支援する。

 次に、DFIR分野においては、Stroz Friedbergの専門知識とCybereasonのフォレンジクス技術を組み合わせ、グローバル規模での対応能力を拡大する。サイバー攻撃発生時における調査や分析、復旧支援を迅速に実施し、企業や保険会社、法務関係者が信頼できる対応体制を得ることが可能となる。

 脅威インテリジェンスの面においては、Cybereasonの研究チームとLevelBlueのSpiderLabsを統合し、新たな攻撃手法や脅威グループに関する分析を深化させる。顧客は攻撃予兆の早期把握と具体的な対策立案の双方に役立つ情報を得られるようになる。

 防御と攻撃の両面での専門性も強化される。LevelBlueは侵入テストやリスク評価、検知エンジニアリング、常時監視などを包括的に提供し、企業が防御力を高めると同時に業務継続性を確保できるよう支援する。この他、異なる技術環境に依存しない統合運用が可能となり、MicrosoftやSentinelOneなどの複合的な環境を採用している組織でも最適化を図れる。

 地理的な拡大も進む。Cybereasonは日本市場で大手の一角を占めており、この地域での存在感がLevelBlueの国際的なサービス展開を補完する。アジア太平洋地域における顧客対応力の向上が期待されている。

 LevelBlueは、プラットフォーム中心のサービスと高度な専門知識を融合させる戦略を推進しており、企業がリスクを低減し、運用上の信頼性を確保するための単一の統合的セキュリティ体験を提供することを目指している。中規模事業者から多国籍企業まで幅広い組織に対し、実効的な成果を重視した支援をする方針だ。

 LevelBlueはAIを活用したセキュリティ運用や脅威インテリジェンス、専門家による対応力を結集し、戦略的助言から攻撃的防御、インシデント対応までを網羅する体制を構築している。Cybereasonの買収は、この包括的な体制を補強し、サイバー攻撃が高度化する環境下で持続的な安全確保を支える重要な一歩となる。

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