AWSは、他ベンダーのクラウドサービスとのプライベート接続サービス「AWS Interconnect - multicloud」を発表した。プレビュー版ではGoogle Cloudのクラウドサービスから接続を開始する。
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クラウドサービスの雄であるAmazon Web Services(以下、AWS)が、大きな決断を下した。2025年11月30日(現地時間)、AWSのクラウドサービスと他ベンダーのクラウドサービスを接続する新サービスを発表したのだ。「AWS Interconnect - multicloud」(以下、AWS Interconnect)と名付けたこのサービスは、クラウドサービス間をプライベート接続で結び、耐障害性を備えた通信を実現するという。
AWS Interconnectは、AWSの仮想プライベートネットワーク「Amazon Virtual Private Cloud」(Amazon VPC)と、他のクラウドベンダーの仮想プライベートネットワークを結ぶことで、クラウドサービス間の接続を実現する。仮想プライベートネットワーク同士の接続手段には、AWSの仮想プライベートゲートウェイや「AWS Transit Gateway」「AWS Cloud WAN」といったAWSのネットワークサービスを利用できる。
AWS Interconnectは発表時点ではプレビュー版としての提供だ。まずはGoogle Cloudのクラウドサービスと接続する。AWSとGoogle Cloudは、相互接続に必要なネットワークデバイスを2カ所以上の建物にまたがって配置し、それぞれの建物に独立した電源を備えるなどの工夫で、耐障害性を高める。AWSはAWS Interconnectの対象を広げ、2026年内には「Microsoft Azure」とも接続可能にする計画だ。
AWSのユーザーであれば管理コンソールからAWS Interconnectを有効化できる。AWSはクラウドベンダー向けに、各社のクラウドサービスでAWS Interconnectを利用可能にするためのAPIの仕様はソースコード共有サービス「GitHub」で公開している。プレビュー段階では、AWS Interconnectは5リージョン(米国3、欧州2)で提供する。
従来は複数ベンダーのクラウドサービスを横断してワークロードを稼働させようとすると、ユーザー企業自身がネットワークを個別に設計、運用する必要があり、相応の時間や負担がかかっていた。AWS Interconnectの活用によって、こうしたクラウドサービス間の接続作業を「数週間から数カ月もかけることなく、迅速に実現できる」とAWSは説明する。
クラウドサービスを活用する企業の間では、複数ベンダーのクラウドサービスを併用する「マルチクラウド」の採用が広がっている。ワークロード(アプリケーションやプロセス)の種類や用途に応じて、適切なインフラを選択しやすくすることが主な理由だ。マルチクラウドに対するユーザー企業のニーズの高まりを、AWSが軽視できなくなったことが、AWS Interconnect提供の背景にあると考えられる。
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