チームスピリット、労務管理機能を提供開始 HR SaaS市場で示す独自性とは

チームスピリットが新機能「TeamSpirit 労務管理」の提供を開始した。多くのHR SaaSが機能の網羅を進める中、同社はどのような立ち位置を目指すのか。

» 2026年02月10日 07時00分 公開
[大島広嵩ITmedia]

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 チームスピリットは2026年2月4日、クラウドサービス「TeamSpirit」で新たな機能「TeamSpirit 労務管理」の提供を開始した。既存の勤怠管理やタレントマネジメント機能に労務管理を加え、人事、労務に関わる中核業務をSalesforceプラットフォームで集約する。これにより、従業員が利用する業務環境の一体化と、経営に活用可能なデータ基盤の整備を支援する。

 多くのHR SaaSが機能の網羅を進める中、同社はどのような立ち位置を目指すのか。

労務管理機能の提供で何がどう変わる

 同社は、勤怠や工数、経費、タレントマネジメントなどを統合したクラウドサービスTeamSpiritを展開してきた。近年はタレントマネジメント機能や、出勤から退勤までの活動情報を記録するワークログ機能も加え、組織運営を支える基盤としての機能を拡充している。

 今回の労務管理機能の追加により、入社や異動などの労務手続きで発生する情報も同一基盤に集約される。勤怠に関する行動データや評価に関する成果データに加え、契約内容や等級、組織といった従業員属性情報を一元的に扱える点が特徴となる。

 発表によると、多くの企業では勤怠、人事評価、労務手続きが別々のシステムで運用され、データ連携が十分に進まない状況があった。従業員側でも、業務ごとに異なるシステムへのログインや操作が必要となり、負担が生じていたという。こうした状況を踏まえ、同社はSalesforceプラットフォームの特性を生かし、日常業務の流れと結び付いた労務管理機能を開発した。

 TeamSpirit 労務管理では従業員が普段利用している勤怠打刻画面と同一の画面、同一の認証情報で労務手続きをできる。住所変更などの身上変更申請、給与明細の確認、年末調整といった手続きについて、画面遷移や再認証を伴わずに完了できる設計とした。従業員が自ら実施する手続きを想定した操作性も備える。

 また給与明細や申請、証明書発行など、実務に直結するテンプレートを標準で用意した。これにより、初期設定の負荷を抑えた状態で利用開始が可能になるとしている。Salesforceプラットフォームの拡張性を活用し、企業ごとに必要となる独自項目の設定やデータ収集にも対応する。収集した情報は勤怠管理やタレントマネジメント機能と連携し、各社の運用に応じた管理が可能だ。

強みである勤怠・工数データをどう生かす

 多くのHR SaaSが機能を拡充しオールインワン化を進めているが、チームスピリットの白須礎成氏(執行役員 Team Success Platform 事業統括本部 本部長)は、その中での立ち位置を「単なる管理機能の統合ではない」と強調する。

 同氏は、強みである勤怠・工数データ(時間の使い方)を労務データと結び付け、人事だけでなく営業や開発といった「事業現場」へ生産性向上のためのフィードバックをリアルタイムにできる点が差異化する要因だとする。

 その戦略を象徴するのが給与計算機能に対するスタンスだ。白須氏は「バックオフィス完結型の『記録』領域ではなく、従業員が自らの働き方をデザインする『フロントエンド』に注力する」と述べ、給与計算などの専門領域はあえて自社開発せず、外部サービスとのAPI連携を優先するとの考えを示した。これにより、人的資本経営の実現を加速させるインタフェースとしての進化に特化する狙いだ。

 労務管理やタレントマネジメントの統合は、HR SaaS市場における共通の潮流となっている。その目的は単なる情報の集約にとどまらず、蓄積されたデータをいかに現場の生産性や経営判断に結び付けるフェーズへと移行しつつあるようだ。

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