埼玉県庁は、部門をまたぐ照会業務の非効率を解消するためにkintoneを採用した。さまざまな情報共有基盤がある中で、同庁がkintoneを選んだ理由は何か。
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部門をまたいだ情報共有にどのような手段を採用するかによって、業務効率が左右される。埼玉県庁では、複数の課から情報を集める照会回答業務が年間で数百件発生しており、200を超える部署が回答用の「Microsoft Excel」(以下、Excel)ファイルを電子メールでやり取りする状態が続いていた。担当部署が各課から直接回答を集めるのではなく、複数階層を経て集約する非効率な業務フローが採用されていたことも、全庁的な課題になっていた。
庁内全体の業務効率化を阻む、こうした課題を解決するために同庁が選んだのが、サイボウズのノーコード開発ツール「kintone」だ。
同庁は全職員約1万3000人にkintoneのライセンスを付与し、kintoneで作成された業務アプリケーション(業務アプリ)は200を超えた(2026年5月時点)。さまざまな情報共有基盤がある中で、埼玉県庁がkintoneを選択した理由は何か。
まず、同庁は「埼玉県デジタルトランスフォーメーション推進計画」に取り組んでいる。推進計画は、アナログからデジタルに環境を移行する「第1ステップ」、業務のやり方を変えるTX(タスクトランスフォーメーション)を中心とした「第2ステップ」、DXを実現する「第3ステップ」の3段階から構成されている。
現在の取り組みは第2ステップに位置する。職員自らがノーコードツールや生成AIを活用して業務改革を進める段階で、kintoneは情報連携の共通基盤として機能している。
従来は部門間で情報を共有する仕組みがなく、冒頭で言及したように、電子メールでの個別確認やExcelに頼っていた。複数部門にまたがる承認フローに対応できる点と、閲覧や編集のアクセス権を細かく設定できる点がkintoneの採用理由だ。特に、200を超える課で情報を共有するため、権限を詳細に制御できる仕組みが要件になっていた。レコードごとに会話できるコメント機能も、照会回答業務に適した点として評価された。
埼玉県庁におけるkintone活用は、8つの業務領域に広がっている。
中でも次年度の事業提案に関するアプリは、企画部門が提案事業に関する情報を収集するために使われている。これまでは企画部門が各課に情報を求める際、電子メールなどで個別に確認を取る必要があった。同庁では財政部門も提案事業の情報を確認する必要があり、手間と時間がかかっていた。kintoneでアプリを作成したことで、企画部門と財政部門が同一の情報を参照できるようになった。
埼玉県庁は今後、DXの取り組みを本格化させる第3ステップに向けて、複数部門を横断する照会回答業務をkintoneに集約する方針だ。併せて、データに基づいた政策立案(Evidence-Based Policy Making)を実現するために、蓄積データの有効性について庁内に認知を広げるとしている。
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