今回のFLASH-OFDMのデモは、東北大学片平キャンパスの電気通信研究所(21世紀情報通信研究開発センター)、宮城県庁、それにソフトバンクテレコムの仙台ネットワークセンターに設置された3つの基地局を利用して行われた。
東北大学に設置されたアンテナは1セクター分で繁華街に向けて設置され、ソフトバンクテレコムのアンテナは異なる周波数の3セクター、宮城県庁のアンテナはサイマルキャストでセクター分けをせず1つの大きなセルを構成している状態だ。基地局はODNのバックホールとPPPoEで直結している。
利用する周波数は下りが2171.25MHz、上りが1981.25MHzで、セクターあたりの出力は最大14W。上下1.25MHzずつの帯域を使用し、理論上のスループットは下り最大3.2Mbps、上り900kbpsとなっている。
まず屋内で行ったデモでは、802.11g対応の無線LANルーターにPCカードタイプのFLASH-OFDMカードを装着してWAN側をFLASH-OFDMに設定し、PCから無線LAN経由でインターネットにアクセスしてスループットを計測した。この時は建物の中で、さらに屋上にあるアンテナの直下という、必ずしもベストな位置ではなかったが、「goo スピードテスト」を利用したダウンロード速度は2.24Mbpsを記録した。
次にFLASH-OFDMのPCカードをノートPCに直接接続して、同様にgoo スピードテストでデータのダウンロード速度を計測したところ、2.31Mbpsをマークした。1Mbpsの動画ファイルをストリーム再生するデモも行ったが、コマ落ちすることもなく、再生するより速くバッファリングしてスムーズに再生していた。ベストな環境では、静止時で2.7Mbps程度のスループットが得られるという。
その後、仙台市内を車で移動しながらインターネットに接続したり、宮城県庁局の周りを巡回している別の車とSkypeを使って動画と音声の送受信をしたり、サーバーにアクセスして動画をストリーム再生したりするデモも披露。車は幹線道路を時速50キロ前後で走りながら、複数のセクター間を移動してハンドオーバーのスムーズさとスループットの高さを実アプリケーションで実証して見せた。
移動時のダウンロード速度は、基地局からおよそ4キロほど離れた地点においてgoo スピードテストで1.54Mbpsを記録し、Webサイトの表示にも特にストレスは感じなかった。
川端氏は「1.25MHzでこのダウンリンク速度を実現できるのはFLASH-OFDMならでは。モバイルWiMAXが利用している10MHzよりずっと少ない帯域で同等のスループットが得られる」とその周波数効率の高さをアピールした。
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