無駄のない設備投資を可能にするソニーの「インターネットタイムレコーダー」
 企業を取り巻く環境が激変する今、経営者には社内例えば、本・支店間にまたがるあらゆる情報の集約とあらゆるリソースの把握、それを元にしたスピーディな意思決定が求められている。それを実現するにはERPと、そのERPの性能を十分に引き出すブロードバンドインフラが不可欠だ。今回はこの両者を満たすソリューションとして、ERPパッケージソフトの代表的ベンダーである株式会社オービックビジネスコンサルタント(以下、OBC)の「奉行シリーズ」とソニー株式会社(以下、ソニー)のブロードバンドVPNソリューション「bit-drive」を組み合わせたワンストップのトータルソリューションに注目したい。
 今回ITmediaで初めて、「奉行シリーズ」の特徴と導入のポイントをOBC販売推進本部・販売推進グループリーダーを務める菊地晃氏に聞いた。

 ことさら言われなくとも、企業を取り巻く環境が非常に厳しいことは周知のとおりだ。この中で経営者には、売上推移はどうか、どこに問題があるかを分析し、日次、時には時間単位でタイムリーに対応していくことが求められる。

 その判断を下すには、今まで以上に速やかな情報収集が必須だ。だがどうやってそれを実現すればいいのだろうか? あちこちに分散した手書きの伝票類を各支店からFAXで送信し、それを集計していたのでは、迅速な集約は望めないし、作業の際にミスが発生する可能性も否定できない。人的コストも莫大なものになる。

 この作業を肩代わりし、本支店間にわたって一元的な情報集約・管理を実現するのがERPだ。ERPを活用することにより、企業にとって重要な資産であるデータを一元的に共有し、ひいては企業全体にわたる業務の効率化と競争力の強化を支援する。

 だがこれまでのERPは、コストの高額さや導入までに要する手間が、多くの企業にとってハードルとなっていた。これに対しOBCの奉行シリーズは、企業の現状に合わせて導入でき、段階的な拡張が可能なパッケージ型ERPだ。短期間で導入でき、メンテナンスに要するコストも安価な奉行シリーズは、MS-DOSの時代から開発が続けられ、今では国内のERPアプリケーション市場でトップシェアを獲得している。

 そしてこの奉行シリーズの効果を最大限に発揮させる拠点間インフラが、ブロードバンドによるインターネットVPNだ。インターネットVPNは、@大容量のデータ通信が可能A低コストBセキュリティの高さ、の特徴があり、将来的に拠点間通信のデファクトスタンダードになると予想されている。その中でも法人インターネット接続サービスで急速に頭角を現しているソニーの「bit-drive」は注目に値する。「bit-drive」が急速に頭角を現している要因として、法人向けに特化し高品質・低コストを徹底的に追求していることにある。ソニーのインターネットVPNソリューション「bit-drive」を活用することによって、本社、支社の双方で必要な情報をリアルタイムに入手し、それを踏まえたスピーディーな企業経営が可能になる。

実績あるERPパッケージ

 OBCでは財務会計システムの「勘定奉行」を筆頭に、販売・在庫管理システムの「商奉行」「蔵奉行」などを含む奉行シリーズを展開、特に従業員規模500名以下の中堅・中小企業で実績を積んできた。幾つかの調査結果を見ると、実際の使用感でも、海外ベンダーや国内大手を押さえて高い評価を得ている。パッケージとして標準化を進めた結果、必要なときにすばやく導入でき、ITの専門知識がそれほどなくても容易に使える点が歓迎されているという。

 その理由について、菊地氏は、「38万5000社の導入実績を持ち、その要望をベースに成熟を重ねてきたことにあるのでは」と分析する。並行して拡大してきた販売パートナーによる現場でのサポート、技術パートナーによる充実したオプションも、特徴の1つという。

 「現在企業は、モノ、人、お金という3種類の問題を抱えている。つまりシステムと管理者・人材、それに導入・運用のコストだ。奉行シリーズは、標準化されたパッケージをベースに、それらの問題を解決する」(菊地氏)。

国内ERPパッケージ市場でトップシェアを握る「奉行シリーズ」。その開発元であるOBCで販売推進本部・販売推進グループリーダーを務める菊地晃氏

拠点間を結んで情報集約

 もともとはスタンドアロンのパッケージとして開発された奉行シリーズだが、ターゲットとなる企業システムの進化に合わせ、クライアント/サーバ方式で利用でき、拠点間を結んでの情報集約を実現する「奉行LANPACK」へ、そして企業個別のニーズに合わせてカスタマイズが可能な「奉行新ERP」へと進化してきた。

 さらに、ブロードバンド接続が法人での利用に耐えうるインフラとして普及してきたことを背景に登場したのが、奉行LANPACKと奉行新ERPの「Broadband Edition」である。ブロードバンド接続の伸びを背景に、最近では多く選択されるようになっており、「顧客からは非常に好評。いまや、中堅・中小企業向けERP基幹パッケージのデファクトスタンダードになりつつある」と菊地氏は言う。

 菊地氏はまた、こうしたソリューションが求められる根本的な原因として、企業が大きな変化を迫られていることを挙げている。「最近ではグループ全体としての効率化が求められ、グループ間の共通業務を集約するシェアードサービスに取り組む企業が増えてきた。商法をはじめとする制度の改変も、それに拍車をかけている」(同氏)。

 ところが数年前までは、そうした構想を実現するための足回りが存在しなかった。専用線やフレームリレーではコストがかさみすぎるし、ISDNでは今後の拡張性に不安が残る。

 その問題を解決したのが、ADSLやFTTHによるブロードバンド接続である。「ブロードバンド環境によって帯域の問題がクリアされ、スピード経営が可能になった」(菊地氏)。

 ブロードバンド接続と暗号通信のスタンダードプロトコルIPSecを組み合わせたインターネットVPN(Virtual Private Network)により、専用線並みのセキュリティが確保できる。もともと奉行シリーズ自体が、アクセス制御といったセキュリティの仕組みを備えている上に、IPSecで通信経路をさらに暗号化することにより、高速かつ安全に基幹業務を運用できるという(菊地氏)。

ブロードバンド以外のインフラは「考えられない」

 無論、OBCでは引き続きスタンドアロン版を提供。また、奉行LANPACKではもともとMetaFrameを活用していることから、地域によってはまだまだ存在しているナローバンド環境でも利用できるよう、選択肢を提供し続ける方針だ。

 ただ、今後のさらなる企業の変化とシステム拡張を見据えると、ブロードバンドを抜きにして考えるのは困難なようだ。例えば、基幹業務をSFAやCRMといったフロントエンドと連携し、生かしていくとなると、いっそうのトラフィック増加は目に見えている。さらなる基幹業務やナレッジの集約、グループやパートナー企業との連携を構想するならば、ブロードバンドは必須のツールだ。

 「奉行システムをコアとして、それを業務のさまざまなシーンで生かしていくならば、ブロードバンド環境は必須。われわれがBroadBand Editionを開発した理由もそこにある。いくらサーバ側が高速でも、システム全体としてそれを効率的に動かせなければ、いいシステムとはいえない。それを実現するのはインターネットVPNしかないと言っていい」(菊地氏)。

国内ERPパッケージ市場でトップシェアを握る「奉行シリーズ」。その開発元であるOBCで販売推進本部・販売推進グループリーダーを務める菊地晃氏

 この奉行BroadBand Editionとの組み合わせで数多くの実績を持つのが、ソニー法人向けのVPNソリューション「bit-drive」である。法人向け専用バックボーンを備え、高い品質のサービスが提供されること、運用・管理が容易なオールインワンタイプのサーバ「DigitalGate」との組み合わせが可能で、24時間365日体制のサポートが提供されることなどが特徴だ。

 参考までにスタートアップパックとして、本社と地域4拠点に奉行シリーズとbit-driveを導入した場合の導入費用とランニング費用を文末に載せたので参照いただきたい。

 菊地氏は、「大事なのは、お客がやりたいことを実現すること」という。そして逆に「お客にとって何が困るかと言うと、基幹業務がストップしてしまうこと」ともいう。無論OBCでは、手厚いサポートを通じて顧客を支援していくが、それには、安定した接続サービスを提供できるソニーbit-driveとのトータルソリューションを積極的に推進していく。(菊地氏)。

 「便利で使いやすくて、お客様に『いいね』と言われるものを提供できるよう、bit-driveと密に連携をとっていきたい」(菊地氏)。そして、今後も顧客が安心して利用できる基幹業務プラットフォームを提供していくという。

【参考】奉行シリーズ&bit-driveスタートアップソリューション例

【費用総額&お客様導入環境】

    総イニシャルコスト 導入費用: @+B \2,690,500-
    奉行シリーズ 年額費用: A \206,000-
    bit-drive&Bフレッツ 月額費用: C \183,700-
    導入拠点例 本社:東京 地域拠点:札幌・名古屋・大阪・福岡

【奉行シリーズ関連詳細】

    @イニシャルコスト 導入費用 \2,250,000-
      OBC勘定奉行21新ERPwithSQL 5CAL版 1本
      ※新ERPはユーザ要望によりカスタマイズが可能です。(カスタマイズ費用は別途)
      環境構築(全拠点インストール)・導入支援(全拠点訪問操作指導)
      インストール用ClientPC 5台 (本社・地域4拠点、お客様用意)
      インストール用ServerPC 1台 (本社、お客様用意)
    Aランニングコスト 年額費用 \206,000-
      年間プログラム保守契約(修正プログラムの無償配布等)
      年間運用サポート保守契約(お客様の業務運用までを把握したサポート。電話対応)

【bit-drive&Bフレッツ・各拠点インターネットVPN接続関連詳細】

    ネットワーク構成 本社
    光ファイバーサービス [ファイバーリンクpro IP8]+DigitalGate+NTT東日本Bフレッツベーシックタイプ
    地域4拠点
    光ファイバーサービス[ファイバーリンクproIP1]+DigitalGateVPNプラス+NTT東日本・NTT西日本Bフレッツベーシックタイプ
    Bイニシャルコスト 導入費用 \440,500-
      [ファイバーリンクproIP8] 導入費用(IPアドレス新規取得) 1本 \23,000-
      [ファイバーリンクproIP1] 導入費用 4本 \12,000-
      DigitalGate導入費用(プレミアムセットアップ) 1台 \110,000-
      DigitalGateVPNプラス導入費用 4台 \160,000-
      Bフレッツベーシックタイプ 5本 135,500-
    C ランニングコスト 月額費用合計 \183,700-
      [ファイバーリンクproIP8]月額利用料 1本 \20,800-
      [ファイバーリンクproIP1]月額利用料 4本 \59,200-
      DigitalGate月額利用料 1台 \30,000-
      ※ハード修理費用・24時間365日オンサイト保守含む
      DigitalGateVPNプラス月額利用料 4台 \23,200-
      Bフレッツベーシックタイプ 5本 \50,500-
      ※ハード修理費用・24時間365日オンサイト保守含む

関連リンク
株式会社オービックビジネスコンサルタント
ソニー株式会社bit-drive
セキュアアクセスサービス“CRYP(クリプ)”
勤怠管理サービス“Internet Time Recorder”

[ITmedia ]


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