モンスターマシンが実現するプライベートクラウドの夢:EMCハイエンドストレージ(3/3 ページ)
EMCは、4月15日、クラウド時代の企業データ・センターに向けた新アーキテクチャ「EMC Virtual Matrix アーキテクチャ」と、このアーキテクチャを採用した仮想データ・センター向けハイエンドストレージ「EMC Symmetrix V-Max」を発表した。
増殖する仮想サーバに対応する
V-MaxはSymmetrix V-Maxエンジン1つを搭載した最小構成製品V-Max SEで2980万円(サービス、保守料金は別)。ただしSEはストレージのプロセッサ部分とディスクドライブを1つのきょう体に組み込んでコストダウンを図ったモデルで、「EMC Symmetrix V-Max」とは連携することはできない。EMC Symmetrix V-Max本体の価格は非公表とのことだったが、エンジン1つだけを搭載したものが3000万円弱であれば、8つ搭載した本体の価格は相当高価なものになるのではないか、という問いに対してEMC側は、単純計算で8倍の価格になってしまっては、ユーザーの予算をはるかに超えてしまうとして否定した。
また、CPUにインテル製品を採用したことについて、前出高橋氏は次のように述べた。「単発で早いコアも必要だが、同時に並列処理をする機能も重要になる。そうした意味でマルチコアの取り組みを以前から進めてきたインテル製品を採用するのは自然の流れだ。供給能力、価格の安定性から見ても当然だと思う」とした。
今回の発表は、大規模なデータセンターで仮想サーバーが早いペースで増加している状況に対して、ストレージ製品もそれに合わせてハイパワー化する流れがベンダーとしてのビジネスチャンスとなっていることを示している。そこにはデータインフラを単一化し、運用コストを削減して、IT予算の中での新規投資の枠を広げたいというユーザーニーズが背景としてある。データインフラの単一化はサーバ、ネットワーク、ストレージといったすべてのセクターで仮想化メリットを追求することで実現する。会見では仮想データセンターという言葉が使われたが、これは大規模なデータセンターを構築している大企業の次のステップである「プライベートクラウド」を見据えたものだ。しかしプライベートクラウドを構築する、しないという前に、まず増殖する仮想サーバにストレージ側でどう対応していくかという課題に応えるものとも言えるだろう。
EMCでは既出の自社ストレージ製品のユーザーに対して、一律にV-Maxへの乗り換えを勧めていくという戦略は取らないとした。まるでモンスターのようなパワーを持つ機器を必要としないユーザーは相当数いるはずで、戦略としては当然のことだと考えられる。だからこそ逆にV-Maxを購入するユーザーが今後、国内でどこまで増えていくのかが注目される。同社では年内に国内100社への販売を目標にしているという。
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