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» 2004年05月18日 12時00分 公開

あなたはアーキテクトに向いている?[IT Architect特別レポート]After JSAF 座談会(2/2 ページ)

[構成:吉田育代、谷古宇浩司,@IT]
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アーキテクトに求められる資質とは

―― 米国ではどんな人がアーキテクトになるのでしょうか? 大卒でないとダメとか、コンピュータ・サイエンスを勉強していないとダメなどの条件はありますか?

ALT 左から、野村一行氏(デベロッパーマーケティング本部 .NETマーケティング部 アーキテクトエバンジェリスト)、太田佳伸氏(デベロッパーマーケティング本部 .NETマーケティング部 アーキテクトエバンジェリスト)

Burner いいえ、特に条件はありません。米国では経験と組織への貢献といったことから、アーキテクトに適した人物かどうかを判断します。特に、特定の分野を勉強していないとアーキテクトになれないといったことはありません。

 しかし、これは地域によって違いますね。ヨーロッパは認可制ですし、インドではもっと詳細に条件が決まっています。(インドでは)アーキテクトになるために必要な学位と必須の業績が明文化されているのです。一方、米国では、ほかの多くのことと同じように、企業それぞれが独自のやり方を取っていて、厳密な形式はほとんどありません。例えば、マイクロソフトには大学を卒業していないシニアクラスのスタッフがたくさんいますが、それ自体は間違ったことではありません。彼らは仕事で実力を示したからこそ、現在の地位を獲得したんです。それにビル・ゲイツだって、大学を卒業していませんしね。

 米国には成功に至るパスがたくさん用意されていると思います。ある意味、すごくルーズなんですよ。挑戦したい人間には誰でもチャンスを与える精神風土があり、もし、うまくいけばステップを上る、ダメだったらそのまま。それはアーキテクトという職業でも同じです。修士の学位がなければアーキテクトにはなれない、ということはありません。

ALT 荒井省三氏(デベロッパーマーケティング本部 .NETマーケティング部 デベロッパーエバンジェリスト)

成本 アーキテクトの具体的な業務を知りたいのですが。

Burner それはマイクロソフトの中で? 

成本 いえ、一般的な話で。

Burner アーキテクトにもいろいろ種類があるということは話しました。広義のアーキテクトは、3つの分野に分類できると思います。すなわち、ITアーキテクト、ソリューション・アーキテクト、エンタープライズ・アーキテクトです。

 このうちエンタープライズ・アーキテクトは、実態としては存在しません。エンタープライズ・アーキテクトというのは、例えば、保険会社のような大規模な組織の中で、テクノロジ・アーキテクチャに関連したビジネス・アーキテクチャを考えたりする仕事をする人のことを指すのですが、これはたいていの場合、フォーマルに行われることはありません。だから、実際には分野は2つです。

 ITアーキテクトは、データセンターを設計する人です。アプリケーション全体のポートフォリオのポリシーを確立したり、あるプロセスと別のプロセスをマッピングしたり、システムの実装方法、規模、管理方法や可用性などを考えます。ネットワーク・アーキテクチャやその冗長性を考えたりするのも、ITアーキテクトの仕事です。

 ITアーキテクトと比較すると、ソリューション・アーキテクトの仕事は、さらに多岐にわたります。開発のプロジェクト・リーダーといえますね。システムを設計するばかりではなく、人や時間も管理します。システムがスケジュールどおりに納品されるようにコードをレビューし、また達成すべきレベルに至っているかをチェックするためにソフトウェア品質の確認もします。

成本 それは日本でも同じですね。

Burner ソリューション・アーキテクトという肩書が付いた人物に特に求められる典型的な役割は顧客対応です。要求仕様書に反応し、顧客に会い、彼らの課題を聞き、システムがどういう方向へ向かうべきなのかという提案をします。しかし、自ら提案したソリューションに固執せず、顧客が出した案が最善ならそれを受け入れます。

―― アーキテクトに最も必要な資質は何だと思いますか? 想像力? リーダーシップ? それともコミュニケーション能力でしょうか?

Burner 数多くのスキルが必要です。しかし、最も求められるのは、システム思考だと思います。無数のピースをどのようにつなげばそれらが協調して働くのかを理解する能力、すべてを一から作り直すのではなく、既存の資産を有効活用しながらシステムを改善する力。こうした現実と折り合いを付けつつ前進する能力が不可欠です。世界中から利用可能なリソースを集めて、ソリューションを練り上げ、最小のコストと時間で、最大の可用性を持ったシステムを作り上げるのがアーキテクトです。それは、建築家がビルを芸術性や先進性、機能性だけを考慮して設計するのではなく、その土地の特性や周囲との調和も考えるのと同じですね。複雑性の総合管理能力、それがアーキテクトの最も重要な資質ではないでしょうか。

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