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» 2004年07月08日 12時00分 公開

情報活用経営とビジネスインテリジェンス(3):ビジネスの未来予測を実現するITの本質とは?──データウェアハウスで実装する“経営の天気予報” (1/2)

ITによってビジネスの因果関係を知ることは、原因の排除・解決だけではなく、未来の変化の予測につながる。今回は、予報や予測の本質を考えてみよう。

[杉浦司,杉浦システムコンサルティング,Inc]

天気予報はなぜあたるのか

 前回「バランスト・スコアカード経営管理のススメ」では、ITは因果関係を知るために活用するものだという話をした。これから先に起こるチャンスやリスクについて変化予測することができれば、ビジネス競争に勝ち抜ける可能性が高くなる。しかし、未来を予測することは容易なことではない。今回は“経営の天気予報”がどのように実現されるのかについて、考察してみることにしよう。

 天気予報はなぜ当たるのだろうか。たまに外れることもあるが、天気予報を見ずに出かけて雨に降られるという失敗は多くの人が経験している。特に最近の天気予報はよく当たるようになってきた。実はその理由もまたITにある。最近の天気予報は専門家が天気図を分析して天候の変化を予測するのではなく、数値予報と呼ばれるコンピュータ分析が行われているのだ。

 気象庁や外国の気象機関で観測された各地の天候データを、格子分割された空間上に気圧、気温、風などの値で配置し、この値を基に未来の大気状況の推移をスーパーコンピュータで計算する。数値予報は風や気温などの時間変化を予測する統計解析モデルであり、山岳などの地形の影響、太陽からの放射、地表面の摩擦、大気と地表面の熱や水蒸気の交換、雲の生成・消滅や降水などのさまざまな効果が考慮されている。

 しかし、人間による天気図予報も、スーパーコンピュータによる数値予報も結局、現在の天候パターンと過去の天候パターンとの類似性を見つけ出すという点において大きな違いはない。蓄積した天候パターンから過去にどのような天候変動があったかを参照して、今後の天候変化を予測しているのである。

 結局、どれほど優れた気象予報士であっても、過去に見たことも聞いたこともない天候状態を予報することはできないし、スーパーコンピュータもまたまともな予測結果を出すことができない。大切なことは地道な観測データの収集と蓄積であり、明日の天気はほとんどの場合、過去の観測データから予測できるということである。

“経営の天気予報”の与件

 “経営の天気予報”も実際の天気予報とまったく同じだ。過去に経験したことのない事態に対して今後、何が起きるのかを推測することは不可能である。

 しかし、新商品の売り上げ予測であっても、類似する既存商品の売り上げ実績があれば可能だ。例えば、既存商品がターゲットとする顧客層や競合製品と比較した市場ポジションといったブランド特性によって分類されていれば、新商品において企画されたブランド特性に似通った既存商品について調べればよい。逆に広告や売り場所、価格付けなどがその都度、無計画に設定されていれば、残念ながら予測は難しくなる。

 こうした情報を蓄積し、予測を支援するツールもある。日立東日本ソリューションズの需要予測ソフト「ForecastPRO」などはまさに、経営のための天気予報ツールといえるものだ。過去の売り上げ実績から変動パターンを生成し、将来における動きを予測する。

ALT 画面 日立東日本ソリューションズの需要予測支援ソフト「ForecastPRO」

 あるいは新しいプロジェクトに掛かる費用予測も、類似する過去のプロジェクト実績があれば可能である。予測ができないのは、天気予報で行われているように過去における経営の天気図がきちんと収集・蓄積できていないからだ。多くのことは過去に似た経験をしている。それを学習できていないから、本来なら防ぐことのできる失敗を繰り返してしまうのだ。

 プロジェクトの費用予測も、プロジェクトマネジメントツールなどによって、プロジェクトプロフィールと費用実績が適切に記録されていれば、新規プロジェクトの期間や費用の見積もりを類似するプロジェクト実績から推測することができるだろう。

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