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» 2004年08月05日 12時00分 公開

トレンド解説(9):IP電話導入でコストは削減できるか? (1/2)

大手・中小を問わず、IP電話の導入が進んでいる。だが、コスト削減を目してIP電話を導入しても、IT部門にその管理業務負荷が掛かり、逆にコストがかさむ可能性もある。IP電話導入企業は、この課題をどう解決しているのか

[アットマーク・アイティ編集局,@IT]

 企業へのIP電話導入の伸びが著しい。2003年はIP電話の大企業への導入が進んだが、2004年はその流れが中小企業にも波及。NEC、シスコシステムズなどシステム・インテグレータ、ネットワーク機器ベンダの各社が導入しやすいパッケージ製品を用意したこともあり、導入が加速している。事務機器販売のフォーバルが今年の3〜4月に行ったアンケート調査によれば、従業員が主に20人以下の中小企業の50%以上が「3年以内にIP電話を導入したい」と回答。IP電話のすそ野が確実に拡大していることが分かる。

 だが、IP電話拡大の一方で、IP電話の運用管理に関する問題が浮上している。従来、電話の運用管理というと、企業内では一般的に総務部が行うケースが多かった。しかし、IPネットワーク上に音声を流すIP電話の管理はIT部門が行うことが多い。ネットワーク自体の管理はIT部門が行ってきたため、IP電話の管理も行うという構図だ。いわばIT部門にとっては仕事が増大したともいえる。IT部門の負担が増加することで、コスト増になったり、本来の仕事ができなくなったりなどの障害が発生していないのか。IP電話を取り扱い、顧客企業と密接にコンタクトを取っている3社の担当者に話を聞いた。

「電話といえば総務部だろう」

富士通 アウトソーシングビジネス推進本部 マーケティング統括部 村田亮氏

 「当初のアプローチは総務部だった。しかし、サービスを開始すると総務部よりもIT部門がIP電話に興味を持っていることが分かった」。富士通のアウトソーシングビジネス推進本部

マーケティング統括部 ネットワークサービス推進部 プロジェクト課長の村田亮氏はこう説明した。富士通はIP電話関連のサービスを開始した当初、「電話といえば総務部だろう」(村田氏)という考えから総務部をターゲットに説明会などを開催し、導入を呼び掛けてきた。しかし、サービスを開始するとIP電話に興味を持ち、問い合わせなどをしてくるのはIT部門が多いことが分かった。「70%が総務部で30%がIT部門と当初は想定したが、現実は総務部が30%で、70%はIT部門だった」という。

 総務部がIP電話に関して関心が薄かった理由としては、電話管理のアウトソーシングがかなり進んでいたという事情がある。PBXの保守管理や電話番号の管理は外部の業者に委託することがほとんどで、総務部は事業部と業者を結ぶインターフェイス役を務めている、という企業が多いのだ。そもそも企業内には電話の管理という考えはなく、総務部が電話で関心があるのはレイアウト配置や引っ越し時の電話番号計画などだったともいえる。

業務効率化の武器

 一方で、IT部門は「単に“もしもしハイハイ”ではないフルIPを活用したIP電話に興味がある」(村田氏)。IT部門から見ればIP電話もネットワーク上で事業部門に提供するサービスの1つ。業務効率化の武器となるのだ。そのためIP電話の運用管理もIT部門が担当することが多いが、それ以上にIT部門はIP電話を活用してメリットを享受しようという意識が強く、IP電話の運用管理を負担とは考えていないというのが村田氏の考え。「IP電話の導入自体が目的ではなく、情報システムを良くしたい、ネットワークを良くしたいと考えて結果的にIP電話の導入を選択するケースが多い」という。IP電話の運用管理についてのコスト増や負担増は、ITを戦略的に使うためにあらかじめ織り込み済みという考えだろう。

 実際にIP電話を導入した企業は、IP電話の運用管理とコストのバランスをどう考えているのだろうか。システム・インテグレータでネットワーク機器を販売するネットワンシステムズは2003年9月末にIP電話の導入プロジェクトをスタートさせた。全国13拠点に700台以上のIP電話機を導入するプロジェクトで、2004年9月をめどに完了させる予定だ。

 ネットワンシステムズでも多くの企業と同様に電話やPBXの管理は外部の業者が行っていた。同社営業本部 総務部 総務リーダー チームリーダーの岩澤利憲氏によると、総務部は13拠点の電話を1〜2人で管理。同時に全国の施設管理や賃貸の契約管理なども担当していた。電話に関しては事業部と外部業者を結ぶインターフェイスを務めるのが総務部の役割。

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