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» 2005年02月11日 12時00分 公開

システム部門Q&A(18):素人IT部長に望むこと (2/3)

[木暮 仁,@IT]

外部には「素人」を生かせ

 とかく情報システム部門は、経営者や利用部門から色眼鏡で見られています。外部からまだ素人だと思われている間に、古参部長ではできないことをやりましょう。

 情報システムが経営に役立たないのは、経営者と情報システム部門の間のコミュニケーションが不足しているからであり、それは情報システム部門が経営者に接触しないからだと非難されています。しかし、古参部長もこれまでもしつこく面会を希望していたのです。ところが、経営者は「どうせ情報システム部門のいうことは分からない」とか「どうせ新しいコンピュータを買えというのだろう」との先入意識があり、興味がないのです。そのために優先順位が低く、なかなか会ってくれないのです。利用部門の上位者も同様です。

 そもそも、コミュニケーションが悪いのは双方の責任です。それを良くするには、情報システム部門が経営者を訪問するより、経営者が呼び付けるとか情報システム部門に出掛ける方が簡単なはずです。それをしないのは、経営者は特に困っていないのだと解釈できます。

 そこで、相手があなたを素人、すなわち自分の仲間だと思っている間に、その立場をうまく利用することを心掛けてください。経営者や利用部門長は、あなたが古参部長のような話はしないと思っているので、気安く会ってくれるでしょう。しかも、古参部長が理路整然と説明するよりも、素人部長が「素人の私から見ても〜」という方が、はるかに説得力があるのです。

 「本当の素人」ではなく、「素人のふり」を続けているのは、ベンダとの付き合いでも効果的です。例えば、見積もりで〇〇人月の工数とあれば、「どうしてそんなに掛かるの?」といい、「プログラムの想定ステップ数が〇〇だから」といえば、「どうして〇〇ステップになるの?」と、素人っぽく質問すれば、相手はそのうちしっぽを出して、値下げ交渉にプラスになります。古参の部下がこれをやると、相手はこちらの本心が見抜けますから、気構えて対処してしまいます。素人部長ならば、一般的な知識として知りたいように思わせれば、相手に構えさせないことができます。

 また、ベンダの経営方針や業界の慣習など、いつも付き合っている者や情報関係のプロではあらためて聞けないようなことを、いろいろと聞き出すことができます。その情報を有効活用すれば、ベンダの選択にも役立ちますし、従来の不適切な慣習や契約を変えさせることもできます。

内部では「素人」から脱却せよ

 ともかく情報システム部門を担当するのだから、ある程度の情報技術は習得してください。いつになっても素人でいるのは、部下の士気を低下させてしまいます。

  (1)素人でいることの副作用   

 部長は、企業全体のことを考える立場だから、情報システム部門に埋没してはならないのは当然です。しかし、就任した数年たっても「オレはコンピュータの素人だから」というのは困ります。新入社員が数年たっても「コンピュータのことは分かりません」といったら、あなたは何というでしょうか?

 いつまでも素人のフリをしていると、部下は「今度の部長は、情報システム部長の地位を腰掛けだと思っている。任期を問題なく過ごせばよいと思っているので、新しいことには本気に取り組まないだろう」と思い、積極的な提案をするどころか、ユーザーからの提案も受け入れないように努力します。さらに「こんな部長を任命するのだから、経営者も情報システム部門なんか重視していないのだ」と判断します。これは部下の士気を非常に低下させます。

  (2)郷に入っては郷に従え   

 素人部長が、最初に違和感を持つのは情報関連用語でしょう。それで「オマエたちはコンピュータ用語を使い過ぎる。もっと誰にも分かる言葉で話せ。だから経営者や利用部門に受け入れないのだ」といいたくなります。

 部外者にはそうかもしれませんが、ここは情報システム部門です。部長が業界用語を知らないと、部下は報告や説明をするのに疲れてしまいます。それが高じると、部下は自分に都合の悪いことは「これは技術的問題ですので〜」などといって報告をしないか、逃げる口実にしてしまうでしょう。


 業界慣習を理解することも大切です。なぜ自社の業務を教えるのにベンダにカネを払うのか、こんなささいな要求なのに、なぜ追加費用を払うのかなど、日本的慣習を当然としていた他部門出身の部長には奇妙に映ります。部下が説明すると「それはオマエがベンダのいいなりになっているからだ」としかります。業界の不適切な慣習を改めるのは当然ですが、あまりにもこれをいうと、部下は部長を責任者ではなく批評家だと見なすようになります。そして、「この費用は部長が文句をいうだろうから、こっちの項目に入れておこう」とベンダと相談することになり、部長+部下vs.ベンダの関係が、部長vs.部下+ベンダの関係になってしまいます。

 部長は「部下からの報告がない」「抽象的で分からない」とこぼしますが、部下は「あの人と話すと疲れる。差し障りのない内容にしておこう」と思っているのかもしれないのです。

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