連載
» 2005年12月17日 12時00分 公開

情報資産管理とバックアップポリシー(4):データ管理ポリシー策定と運用の仕方は? (2/2)

[大内 剛,日本ヒューレット・パッカード]
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HSM実現のためのツール

 HSMを実現するには、データの重要性やアクセス頻度に応じて必要なストレージ装置にデータを配置すればよいですが、ただ容量単価の異なるストレージ装置を何種類か用意しただけでは不十分です。ストレージ管理者が設定したデータ配置のルールに従って、ユーザーがデータを移動してくれるとは限りません。そこで、あらかじめ設定したポリシーに基づいて自動的にデータの移動をしてくれるツールが必要になります。

 ここでは、日本ヒューレット・パッカードが販売している階層型ストレージ管理ソフトウェア「HP StorageWorks File System Extender」(FSE)を例に取って、HSMを実現するのに必要なシステムの機能について見てみましょう。

 FSEはクライアントとサーバから構成されるアプリケーションです。ユーザーが使用するファイルシステムはクライアント上に存在しますが、このファイルシステムは通常のファイルサーバが提供するファイルシステムとの違いはありません。

 FSEはクライアント上の個々のファイルを監視し、システム管理者が設定した条件(ポリシー)に合致したファイルを選んでサーバに移動させます。条件とは例えば、作成/更新後30日間まったくアクセスが行われていないようなファイルです。これにより、クライアント上のファイルシステムには、常に使用頻度の高いファイルのみが残り、あまり使用されないファイルは容量単価の低いサーバに移動することになります。

ALT FSEのクライアントとサーバ

 さて、いったんサーバに移動してしまったファイルをユーザーが再度使いたいと思った場合には、どうしたらいいのでしょうか。

 クライアントからサーバにファイルが移動する場合、クライアントには「スパースファイル」と呼ばれる小容量のポインタが残ります。ユーザーやアプリケーションがそのスパースファイルを参照すると、クライアントはサーバと通信し、移動してしまったファイル本体をクライアントに復元(リコール)させます。最初からクライアント上にファイルがある場合と比べると若干時間はかかりますが、サーバ上にファイルがある以上、利用は可能です。もちろん復帰したファイルはしばらくアクセスがないと、またサーバに移動してしまいます。

 FSEのクライアントとサーバは1台のハードウェア上に配置することもできますが、下の図のように2台のハードウェアに分散配置させたり、複数クライアントに対して1台の大規模なサーバを配置したりすることも可能です。

ALT FSEのハードウェア構成

 また、最近の傾向として、データの改ざん防止をストレージ製品で実現するWORM(Write Once Read Many)機能を利用するケースも増えています。本連載の第2回で説明したように、これは1度だけデータを書き込めますが、それ以降の上書き変更や、削除を禁止する機能で、すでに一部のテープドライブや光学式ドライブ製品で実現されています。コンピュータ上でいくらデータを更新しようとしてもストレージ装置が受け付けないため、データが改ざんされていないことを証明できるのです。

 FSEでは、この機能をクライアント上でソフトウェア的に実現しており、ハードウェアによるWORM機能と組み合わせて使うことにより、より確実な改ざん防止も可能になります。

そのほかのILM対応アプリケーション

 HSMをさらに進化させたストレージシステムとして最近注目されているのが、電子メールアーカイブシステムです。

 電子メールアーカイブシステムは、送受信後一定期間経過した、または一定期間アクセスされていない電子メールを、メールサーバとは別のアーカイブ用ストレージに保管する機能を持っています。

 これによりメールサーバに保管するデータ量が削減され、サーバの負荷も小さくなります。米国では法規制(サーベンス・オクスリー法:SOX法)に対応するため、急速に導入が進んでいます。また、製品によってはアーカイブ用ストレージに保存された電子メールを高速に検索する機能もあり、コスト削減はもちろん利用者の満足度も向上します。

 以上のように、e-文書法をはじめとする法規制や規制緩和を受け、日本でもリファレンスデータを効率的に管理・運用するためのソフトウェアやソリューションが提供されてきています。

 データ処理を効率化するストレージシステムの導入は、独自の付加価値の創出につながり、新たなビジネスチャンスをとらえるきっかけにもなります。企業の競争力を高めるためにも、自社に最適なシステムを選択することが大切です。


 さて次回は、「SAN管理ソフトウェアによる生産性向上」と題して、マルチベンダのストレージ環境を効率的に管理するためのソフトウェアについて解説します。

 増え続けるデータとストレージを限られた人数のIT管理者で効率的に管理するには、IT管理者のルーチンワークを軽減して、より戦略的な業務に工数が割けるようにするための自動化ツールが必須です。すでに導入が始まっているSAN管理ソフトウェアの機能と、導入による効果についてご説明しましょう。

【参考文献】
▼実践 e-文書法 対応システム導入の手引き」東洋経済新報社刊
▼「ストレージネットワーキング技」オーム社刊

著者紹介

▼著者名 大内 剛(おおうち つよし)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 ストレージ・ワークス製品本部 プロダクトマーケティング部

日本DEC入社後、顧客向け技術トレーニングのインストラクタを担当。その後PC事業部門でIAサーバのマーケティングに従事。HP-コンパック合併後はストレージソフトウェア、ディスクアレイ製品のマーケティング担当を経て、現在はミッドレンジストレージ製品チームのリーダー


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