話を先へと進める前に、素人でも分かる言葉を使ってPPMの上位レベルの概要を解説したい。
WebでPPMについて調べると、ポートフォリオ管理が提供する価値について、「ビジネスに合わせたIT」「ITの最適化」「IT統治」「コンプライアンス」と説明する格好のよい言葉を必ず目にする。最近ITポートフォリオ管理の会議に出席したことがあれば、組織の「知識プロセスアウトソーシング(KPO)」および「業務プロセスアウトソーシング(BPO)」遂行にPPMがもたらすメリットの大きさについて聞き、当惑したかもしれない。早い話が、こういった異なる技術や格好のよい説明は、これらを理解するのを混乱させるだけなのだ。
事実上、Enterprise Project-portfolio Management(本稿では以下PPMで省略)は人材、リソース、そしてプロジェクトを事業目標に合わせることにすぎない。PPMは効率的なプロジェクトの選択と優先順位付けから始まり、会社に継続的に価値を提供することを究極の目標とする。PPMは、慎重に選択したプロジェクトによって人的資源や知識などの企業資本投資を慎重にコントロールすることで、組織によるビジネス戦略の実践を可能にする。
筆者は、日常的な話し言葉を使ってPPMを説明してみたい。本稿を読むことでPPMをもっと簡潔に説明できるようになっていただければと思う。
ここ10年でITの知名度が劇的に高まったのは、ビジネスに対してITの説得力が高まったことと無関係ではない。念のため付け加えると、金融などの各種ビジネスデータの妥当性、生命科学、航空宇宙、防衛といったリスクの高いビジネスのミッションクリティカルなプロセスのサポートなど、そこには多数の例がある。ITの新しいアカウンタビリティーには、ビジネスの核となる分野も含まれる。企業のマネジャーは常に、コンプライアンスコストは抑えつつ、新しい製品、サービス、システム、およびプロセスの投入による売り上げ拡大をITに求めている。
新しいアカウンタビリティーの目標達成がITに要求されるコア要件を以下にいくつか示す。
これらの要件を効果的かつ効率的に満たすため、IT部門は社内プロセスを構築し、数値化できる結果を出す必要がある。筆者の定義するPPM活動は、以下のコアコンピテンスにより構成される。
ビジネスおよび技術上の最大限の成果を実現するため、現場であるITから、企業のマネジャーまで、PPMソリューションにはさまざまな人がかかわってくる。PPMは、ROIに関してもIT部門内のさまざまなレベルで幅広い価値を提供することができる。下記の図にその一部を示す。
素人でも分かる言葉を使ってPPMを定義すると、PPMは、ITプロジェクトによる価値の創造を、ビジネス戦略や目標に合わせたまま向上させ、促進し、低コスト化するIT統治ツールであるといえる。
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