いまさら聞けないストレージの初歩の初歩ストレージ超入門 (2/2 ページ)

» 2006年05月16日 12時00分 公開
[高崎 信博@IT]
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RAIDの種類と機能

 RAID(Redundant Array of Inexpensive Disk Drives)は、安価なディスクドライブを並列的に利用して、高速性、高信頼性を得ようとするものです。

 RAIDには、OS(Windows OSやUNIX系OSのオプションソフト)やシマンテックの「Volume Manager」など、ストレージ管理ソフトの機能により構成するソフトウェアRAIDと、専用のRAIDコントローラを搭載したハードウェアRAIDがあります。ハードウェアRAIDにも、PCサーバなどにコントローラを内蔵したタイプと、RAIDコントローラとディスクドライブを1つのパッケージに収めた外付けタイプが存在します。

利点 欠点
ソフトウェアRAID 安価 、手軽に使用可能 サーバ負荷が高い、比較的低速
ハードウェアRAID OSに限定されない、高速、機能も豊富 高価
表2 ソフトウェアRAIDとハードウェアRAID


 ハードウェアRAIDをソフトウェアRAIDで束ねて、パフォーマンスや信頼性を高めるという手法もあります。容量が大きく、ミッションクリティカルな環境では、ハードウェアRAIDの使用が多くなっています。 

ストレージで注目される機能

 RAIDの機能としては、まず、データの信頼性向上や障害復旧、バックアップを目的としたボリュームのレプリカ(複製)機能があります。ミッションクリティカルな大規模ストレージ環境では、このボリュームのレプリカ機能を使用する形態を多く見かけますが、実データの2倍のストレージ容量が必要になります。ミッドレンジクラスのストレージでは、ある時点のデータのコピーを簡単に作成するスナップショット機能が重宝します。これらの機能は、ソフトウェアRAID製品およびハードウェアRAID製品の両方で対応可能です。レプリカとスナップショットの特徴を以下にまとめます。

利点 欠点
レプリカ データは完全に二重化されるので信頼性が高い、レプリカボリュームを他の業務で使用しても実ボリュームへの影響がない 実データの2倍のストレージ容量が必要、レプリカボリューム作成に時間がかかる
スナップショット 実データ容量の10パーセント程度でコピー可能(ただし更新量により変わる)、高速にファイルコピー 電源ダウン時はスナップショット情報がクリアされる
表3 レプリカとスナップショット


 ストレージでは昨今、誤操作によるデータ削除・破壊、データの改竄(ざん)や消失を防止する機能が注目されています。前述のネットワークアプライアンスや日立製作所などのストレージには、改竄(ざん)防止機能をオプションとして搭載可能です。ディスクのある領域にはアクセス可能であるが他の領域にはアクセス不可とするアクセスコントロール機能や、データの暗号化を行う専用のアプライアンス製品も販売されており、ストレージのセキュリティに対する関心も非常に高くなってきています。

 ストレージの仮想化という考え方も数年前から存在しています。その達成手法にはいくつか種類がありますが、ストレージリソースを有効利用することが目的です。

 NASを使用すれば、異なるOS間でファイルを共有使用することが可能ですが、SANの場合には、サーバOSの実ボリューム、実ファイルシステムとして動作するために、異OS間でファイル共有を行うには別途ファイル共有ソフトを使用する必要があります。

 ストレージは、自社に置くという形態がすべてではなく、ディスクストレージの容量貸しやASP型のファイルサービスという形態もあります。手軽にファイルを共有使用したい場合には、オンラインストレージというサービスもあります。ストレージの規模、使用用途、導入環境、パフォーマンス、予算など、選択には多くの要素があると思いますが、アプリケーションがこれだからストレージはこれだという固定観念を捨て、さまざまな角度から調査、検討することをお勧めします。

著者紹介

▼著者名 高崎 信博(たかさき のぶひろ)

東京エレクトロン コンピュータ・ネットワーク事業部

ストレージ技術統括グループ ストレージインテグレーショングループ グループリーダー

東京エレクトロンにおいて、約10年前から国内外のディスクストレージ・テープライブラリ、ストレージ管理ソフトウェア関係の業務に従事。

最近では特に、データ保護・管理を中心としたシステム提案およびテクニカルサポート全般のマネジメントを担当している。


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