連載
» 2006年05月26日 12時00分 公開

事例で学ぶビジネスモデリング(7):戦略実現の鍵を握る情報システム部 (3/4)

[印藤尚寛,ウルシステムズ株式会社]

業務分析で深めた現場と情シスのコミュニケーション

業務フローの作成

 業務分析作業では、まず現状の業務フローの作成に取り組んだ。業務フローの作成は、実際の業務を確認しながら行うのが効率的なため、物流センターに作業スペースを借りて実施した。業務担当者が作業現場の状況や資料から現状の業務を説明し、それをシステム担当者が業務フローに記述する方法を取った。

 現状の業務フローが一通り完成した後、現状業務の問題点を明確にすることになった。問題点抽出の討議には、業務担当者やシステム担当者のほか、情報システム部長も参加した。業務担当者から、業務上の問題点が次々に挙がってくる。

 「最近、商品の破損が多くてね」と、業務担当者が切り出した。

 「なぜ、商品の破損が多くなったのですか?」と、私は質問した。

 「ベテランのドライバーが少なくなってきてね、商品知識が十分でない若手ドライバーが増えてきているのですよ」

 「商品知識が十分でないと、なぜ破損が増えるのですか?」とシステム担当者も質問した。

 「ベテランだったら経験があるから商品名だけで荷扱いの注意点が分かるけど、若手はそれが分からない場合が多いからね」

 「そうすると、ベテランの経験を若手に伝える仕組みか、もしくは荷扱いの注意点が外箱に表示される仕組みが必要になるわけですね」とシステム担当者がいった。

 「そうだね。でも荷扱いの注意点を外箱に書いても、ドライバーがそれを1つ1つ見るのは実際には難しいと思うよ」

問題の体系化

 情報システム部長は、システム担当者が業務担当者と対等に議論している姿に感心している様子だ。何しろ、つい1カ月前までシステム担当者はほとんど現場業務を知らなかったからだ。現場にプロジェクトの作業場所を借りて、徹底的に現状業務の分析をした成果が表れているのだろう。

 毎日議論が終了した後、私は問題点の体系化を行った。成長戦略を考察するうえでの本質的な問題点は事業収益性の低下だ。従って、討議された問題点が「売り上げの低減」や「コストの増大」を招いている直接の要因、もしくはそれらの要因に対する根本原因を特定するように整理する必要がある。抽出された問題点をその体系に当てはめ、問題から想定される原因が網羅的でないものや、根本原因が不明なものを翌日担当者に質問するようにした。

 問題点分析が終了した後、それぞれの問題点に対する施策を検討した。先ほどの、商品の破損に対する施策についても、具体的な検討が行われた。

 「荷扱いの注意点を文字で印刷しても、誰も読まないと思うよ」と業務担当者はいった。

 「基本的な原則は、色で識別できるようにしたらどうかなあ」と、もう1人の業務担当者がアイデアを出した。

 「なるほど。目立つ色のラベルを貼っておけば、若手のドライバーでも気が付くかもしれないね」

 「そのようなラベルを出力するには、商品マスタに荷扱いの注意点の種類を登録しておく必要がありますね。マスタに登録しておけば、入荷検品時に荷扱い注意のラベルを出力することができます」と、システム担当者がシステムでの対応方法案を出した。

 このようにして抽出された施策に対して、費用対効果や実現可能性の観点から優先度を付けた。そして現状の業務フローに対して、優先度の高い施策を反映した業務フローを作成した。

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