戦略実現の鍵を握る情報システム部事例で学ぶビジネスモデリング(7)(4/4 ページ)

» 2006年05月26日 12時00分 公開
[印藤尚寛,ウルシステムズ株式会社]
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最終報告で情報システム部が主役に

 こうして、最終報告の日を迎えた。出席者は社長以下関係する役員と、総合物流事業部長、情報システム部長、それにプロジェクトメンバー全員だ。現状の問題点を業務担当者が報告し、それに対する施策や業務フローについて情報システム担当者がプレゼンを行った。

 プロジェクトメンバーのプレゼンが完了した後、社長が感想をいった。「ありがとう、よく整理してくれたね。業務面についての改善点は、事業部の中で考えていかなくてはいけないね。すぐにできることもありそうだから、早速実行してください。あとは、やはりシステムが計画のとおりにできるかどうかだね。そこは、情報システム部が中心になって進めてください」

 最後に、情報システム部長が発言した。「今日ご報告させていただいたように、総合物流事業部と情報システム部の共同チームで、今回の戦略を実行可能な施策へ展開しました。この後は弊社にとっては10年ぶりに基幹システムを刷新することになりそうです。そうなればもちろんわれわれ情報システム部が中心となって、業務部門の協力を得ながらプロジェクトを進めたいと思いますので、ぜひご協力をお願いいたします」。発言内容は控えめだが、その表情には確固とした意思が感じられた。

 その後の役員会では、このプロジェクトを今後も推進し、2カ月後の役員会でシステム化に関する投資判断を行うことが決定した。以降、プロジェクトは業務改善の検討と並行して、システム化範囲の策定とシステム化計画の立案を行うことになる。実際の開発は外部のSIベンダに委託するため、RFP(提案依頼書)を作成し、評価基準を定めたうえで、SIベンダに提案依頼を行う必要もある。

 いままでなら、情報システム部の出番はこの段階からだったろう。しかし、経営戦略を反映し、業務運用にマッチするシステムを構築するためには、システム開発の前段階から情報システム部が参画することが重要である。“ITのプロ”である情報システム部こそが、戦略実現の鍵を握っているといっても過言ではないだろう。

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