この連載ではこれまでにリーダーの作業として、「構築するシステムの概要」「コストやスケジュールのめど」「プロジェクト組織の在り方」などを検討することを勧めてきました。これらはリーダーとして「十二分に準備する」ことの一環ですが、これだけを考えてみてもその作業ボリュームの大きいことが分かります。作業負荷を無視することはできません。
責任感の強い人であれば、自分に努力を強要します。その努力を夢中で行うことができる人にはあまり心配は要りません。「仕事に行きたくないなあ」といつも思っている人でも、いざ遅刻しそうになれば「いますぐ仕事に行かなくちゃ」と積極的になってしまうのと同様、環境が否定的になる暇を与えてくれません(もちろん、体を壊すようではいけません)。
しかし、だからといってリーダーだけに過剰な負担が掛かることは避けるべきです。長期的なプロジェクトであれば、最後まで体力的な余裕を残しておくことは大切です。各メンバーの負荷はバランスが取れていることが望ましいのです。例えば、方針ではなく具体的な作業方法などメンバーに任せていいものは任せるべきですし、また経験のある人がいれば、その人にサブリーダー(補佐)になってもらうなどして対応します。
ついでながら、筆者はプレイングマネージャ、すなわちリーダーでありながら一般のメンバーと同じ作業もこなすことは、基本的に反対です。リーダーとしての作業に支障を来す可能性があると考えるからです。状況はプロジェクトごとに異なるでしょうが、場合によっては「二兎追うものは一兎も得ず」です。
最後にもう1つ付け加えます。
あなたが「自分は性格的に人をリードすることができない」「人を指示することが嫌だ」と思っているのであれば、人をリードするのは性格の向き不向きではなく、チームに高成果をもたらさなければならない責任、そしてそれに伴う権限であると考えを変えてください。「しかられるのも給料のうち」と同じで、少しは気が楽になるかもしれません。
プロジェクトリーダーとして準備を十二分に行うためのチェックポイント
次回も引き続き強いチームである方策を考えます。
山村 秀樹(やまむら ひでき)
某製造業において、主としてシステムの運用保守作業に従事している。仕事を通して、コンピュータ・システムに関心を持つようになり、中でもシステムの開発プロセスについて興味を感じている。
Elie_Worldを運営し、システムのライフサイクル全般にわたる作業について考えている。
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