コンサルティング・プロモーション導入のための方法論プロフェッショナル企画提案方法論−C/P(5)(1/2 ページ)

コンサルティング・プロモーションは、組織に適用される活動であるため、組織として導入・推進されなければならない。そのための方法論とは?

» 2006年09月30日 12時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

コンサルティング・プロモーションの推進を企画する

 連載第1回では企画提案にも方法論が適用できること、第2〜4回でそのための方法論であるコンサルティング・プロモーション(C/P)の概要(コンセプトやプロセスなど)を述べ、ツール(技術)であるプロポーザル・レビュー(PR)会議とディスカッション・プロポーザル(D/P)について説明した。

 今回は、提案仮説を構築するピースである知見や知識の組織的拡充、PR会議の定着や高度化、D/Pの準備や訓練の進め方などを組織的に推進し、後戻りしないようにするにはどうしたらよいかについて解説する。

 コンサルティング・プロモーションは、企画提案の方法論である。ここではコンサルティング・プロモーションの推進自体を、コンサルティング・プロモーションを用いて解説していく。ちなみにこれを「自己記述」という。自己記述性を備えていることは、まともな方法論の条件である。

 コンサルティング・プロモーションの導入ビジョンを、下記フレームワークを用いて解説する。

図1 C/P導入フレームワーク 図1 C/P導入フレームワーク

コンサルティング・プロモーション導入の目的・狙い

 コンサルティング・プロモーション導入の目的・狙いは多くの場合、次のものである。

  • システム化事例の中から顧客の利益を増大させる革新策を見出し、これを日々拡充しておく
  • 顧客の要望も一視点と位置付け、顧客環境と蓄積した革新策を合わせ、プロとして最善策を組み立てる
  • 事前に徹底的に企画提案の仮説を突き詰め、顧客に指摘される前に主導的な提案を行う
  • 提案仮説は、社内の知恵を結集し、顧客の意向を超える水準になるまで追求の手を緩めない
  • 提案内容は、必ず事実・事例で実証し、高い訴求力を実現するとともに、実現性を確認する
  • 組織として企画提案方法を定め、ステージゲートを設定維持し、企画提案の品質を保証する

コンセプト

 上記目的・狙いに寄与する基本の考え方が、コンサルティング・プロモーションそのものである。コンサルティング・プロモーションのコンセプトは次の6つである。

  • 提案仮説 − 顧客にいわれる前に、主導的に提案する
  • IL(イノベーション・ロジック) − リターンを生み出し、投資効果を高める
  • KI(キー・イシュー) − 顧客の悩みを洞察し、付加価値を高める
  • ファクトによる実証 − 訴求力と実現性を高める
  • 社内外の知恵の結集 − 顧客の意向と競争相手の提案内容を超える水準を達成する
  • ステージゲート − 妥当な提案品質を保証する

コンサルティング・プロモーション導入のビジョン

 コンサルティング・プロモーションを適用した場合に、業務がどうなるかを描いた「在るべき姿」は次のようになる。

組織ビジョン

 組織としては、コンサルティング・プロモーションの推進をミッションとするC/P推進チームを編成する。このチームは、社内の企画提案を行う部門に対して次の役割を担う。

  • 企画提案の活動に対して、C/Pの技術的支援を行う
  • 企画提案拡充のためのパズルのピースに当たる、知識や知見の相互触発を促進する
  • 相互触発された知識や知見の組織的な蓄積・交換を促進する

 C/P推進チームはコンサルティング・プロモーション導入の初期的には、主に次を行う。

  • コンサルティング・プロモーションを導入する対象部門を限定的に定めて、その部門に対して積極的な支援を行う
  • 支援対象部門への定着と図るとともに成功事例を作る
  • コンサルティング・プロモーション導入のリターン明確化と、展開上の課題を明らかにし、トップに対して展開計画の承認獲得を行う

 初期段階を終えたら継続的に、定常支援を行うとともに、定期的なC/P推進に関する活動評価を行い、社内への展開と深化の計画を立案する。

制度ビジョン

 C/P導入部門では実際の企画や提案に対してコンサルティング・プロモーションのプロセスを適用し、これを制度化する。そのプロセスの中では、部門として正式に企画提案を承認する必須のステージゲートを定め、部門長が厳格なレビューを行うようにする。

資源配分ビジョン

 C/P推進チームには、技術的支援、知識や知見の相互触発推進、活動の振り返りと計画立案に必要な人員を配置する。

 C/P導入部門では、実際の企画提案テーマについて、フロントローディング(前倒し)の資源配分変更を行う。そして、実際の企画や提案に対してC/Pのプロセスを適用する。そのプロセスの中で、部門として正式に企画提案を承認する必須のステージゲートを定め、部門長が厳格なレビューを行う。

  • 初期仮説の段階でのPR会議に対する上位者の参画を行う
  • 企画提案責任者(PM)は、初回の顧客訪問前から企画提案仮説を用意する。

プロセス・ビジョン

 コンサルティング・プロモーションのプロセスを定着・向上させるメタ・プロセスも大切だ。C/P推進チームでは、C/P推進計画の立案、技術支援や知識・知見拡充の促進などの実施、活動の振り返り、活動の調整と計画フィードバックというPDCAを回すプロセスを実施する。

 C/P導入部門では、第3回で解説したコンサルティング・プロモーションのプロセスである9つのステップを実施する。

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