「顧客の視点」をビルトインするプロダクトエキスパートCMSビジネス活用術(4)(2/2 ページ)

» 2006年11月16日 12時00分 公開
[デジタルアセット研究会,@IT]
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顧客視点の基盤として求められる「柔軟なPIM」

 ここまで見てきたように、プロダクトエキスパートは顧客の視点で商品情報の内容や構造を考えるのが役割である。ところが商品情報というものは、商品それぞれに管理項目が異なる。売り方(キャンペーンや会員優遇制度など)や製品ライフサイクル(プライスダウン、オープン価格化など)の変更・変化によって項目は増減する。

 従って、CMSPIMの商品情報データベースは、構造を最初に作って終わりではない。頻繁に項目の追加や削除が必要になる。このとき、プロダクトエキスパートにITエンジニア並みの知識があり、DBMSの設計変更ができるのであれば問題はないが、ほとんどのプロダクトエキスパートは一般のビジネスユーザーである。

図2 顧客対応には、柔軟な項目の追加・変更が必要 図2 顧客対応には、柔軟な項目の追加・変更が必要

 そこでCMS/PIMは、一般のビジネスユーザーにも使いやすいアプリケーションであることが求められる。プロダクトエキスパートが「この商品情報には税金関係の付随情報を追加した方がよい」と思えば、即座に自分で項目が追加できるような、柔軟なCMS/PIM基盤が必要である。そうしたテクノロジ基盤が顧客の視点での企業活動を支えることになるのである。

コールセンターから始める、逆転の発想

 顧客の視点のWebサイト構築を目指すに当たり、まずはコールセンターからCMSを導入するというのも1つの方法である。つまり、顧客接点であり、最もデマンドに近いコールセンター/コンタクトセンターにCMSを導入し、顧客視点のコンテンツを整備することから始め、それを全社員・取引先へと広げ、Webサイトは仕上げとして導入を行うという手順である。

Step1:コールセンターのオペレータ向けCMS(顧客視点のコンテンツ整備・情報導入)

Step2:B to Eの全社員へのCMS(社内ポータルなどと連動、IT部門と連携)

Step3:B to Bで全取引先へのCMS(在庫情報共有などのため、基幹システムと連携)

Step4:BtoCで顧客へのCMS(広報部門と連携)

 内から外へという逆転の発想でCMSを導入していくことで、顧客の視点に立脚したしっかりしたPIMを構築することを目指すのである。全体をレベルアップしたい場合、まずは「1つの商品(群)」「1つの部門」と特定の部分に力を集中して、その範囲でレベルアップを図り、そこをセンター・オブ・エクセレンス(CoE)として全社に波及させていくというアプローチもあり得るだろう。

著者紹介

デジタルアセット研究会

事務局 FatWire株式会社2003年から2005年度までの2年間、CMSをビジネスに活用するための各種技術や事例などをユーザー、SIer、デザイナー、印刷会社など20名程度の有志が毎月研究会を行っていた。この連載は、デジタルアセット研究会で話し合われてきた内容を基に構成したものである。


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