今回は、来日して1年の中国人エンジニアの上司に対する悩みを中心に紹介する。やる気のない日本人上司に対して、どうやってアプローチしていけばよいのだろうか。
今回はやる気のない日本人上司に失望した、ある中国人技術者の苦悩をレポートします。
普段から、筆者の元には多数の相談が寄せられます。相談者の多くは日本人で、全体の約7割を占めます。そして中国人も、負けず劣らず積極的に相談や近況報告を寄せてきます。全体の3割は中国人を含めた外国人からの相談です。
かつては、「日本市場に営業を掛けたいので、筆者のメールマガジンで会社紹介してください」といった露骨な営業攻勢が大勢を占めていたのですが、最近ではずいぶん落ち着いてきました。
その代わりに、開発現場の最前線で活躍する中国人技術者から、プロジェクト内外のさまざまな情報がひっきりなしに届きます。中には、こんな珍しいメールも交ざっているので目が離せません。
今回紹介する中国人技術者からの相談は、やる気が空回りして周囲の日本人と同調できずに苦しむ、現場の生の声です。あなたなら、どのような助言をしますか? 相談を受ける側の気持ちになって、以下を読み進めてください。
私はオフショア開発の中国展開のため、1年間日本で準備しています。今年中国で採用した新人も日本に呼んで教育しています。なかなか経験者の採用ができず、新人ばかりの体制になっています。このような状況に心配しているのは、なぜか私だけのようです。日本側の責任者は誰も本気で考えていないのです。彼らは「中国に出張した際の、夜の生活だけ楽しんでいる」というか、そのために出張を計画しているような気さえしています。涙が出るほど情けないです。
そして今日、中国語も英語もまったく話せない日本人が中国の責任者として赴任することが決まりました。彼は開発リーダーではありませんし、私からすれば、管理経験も技術力も足りません。私は上司に対して、彼は中国赴任者としてふさわしくないことをはっきり伝えました。
私は中国人ながら、心から日中の間で何か役に立つことしたいと思っています。日本企業の利益も考えながら、中国にとっても、良いことをしたいです。なのに、いまの会社の中国展開のやり方に失望しました。上司は本当に会社の利益を考えているか、疑問を持っています。そして、見えないガラスの天井(Glass Ceiling)の圧迫をすごく感じています。何よりも信頼されないことが悲しいのです(日本滞在1年の中国人)。
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