日本版SOX法対応コストを将来への投資に変える新発想の業務フローチャート作成術(5)(2/4 ページ)

» 2007年10月10日 12時00分 公開
[松浦剛志(プロセス・ラボ),@IT]

対象を内部統制一般に拡大する

 企業としては、おのおのの事情もあって対応が分かれているようだが、日本版SOX法対応と内部統制の構築と、同時にできればそれに越したことはないというのが総意だろう。では、同時にできるとしたら具体的には何が狙えるのか。

 日本版SOX法におけるアプローチは、

業務プロセスの文書化→リスクの認識→コントロールの設定
→リスクとコントロールのモニタリングとその継続的改善

になる。

 それぞれの活動の本質を考え、より一般的な言葉に置き換えてみよう。「文書化」の本質は、可視化である。「リスク」「コントロール」とは、それぞれ、「財務報告の信頼性」という観点による「課題」と「解決」といえる。

 従って、日本版SOX法におけるアプローチは、

業務プロセスの可視化→課題の認識→課題の解決
→課題のモニタリングとその継続的改善

といい換えることができる。

 このアプローチは、業務改善、すなわち内部統制の4つの目的に挙げた「業務の有効性および効率性」にかかわる取り組みそのものだといえる。しかし、課題を、スピード・品質・正確性・安全性などに置き換えることで、実は、「業務の有効性及び効率性」のみならず、内部統制の目的のうち残る2つ、「事業活動に関わる法令等の遵守」「資産の保全」をも包含していることに気付く。

 つまり、内部統制の4つの目的を達成するためのアプローチは業務改善にほかならず、「財務報告の信頼性」の観点から、業務改善の対象を、財務情報が正しく反映されないリスクにフォーカスした取り組みが、日本版SOX法対応であるといった方がよいかもしれない。

 業務改善のスタートは現状業務の把握であり、つまり「業務プロセスの可視化」である。本連載の第1回で述べた、下記の話につながっているのである。

 「業務フローチャートは日本版SOX法だけでなく、上場準備や業務改善など、さまざまな用途で利用されている。業務プロセスの可視化という本質を踏まえて業務フローチャートを作成すれば、これらの用途に幅広く適用することができ、実際の業務に役立つ画期的なツールになる」

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